人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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信濃境駅から下教来石下バス停へ

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2023/08/08 10:31

信濃境駅

中央本線に信濃境という駅がある。小淵沢から県境を越えて長野県に入った最初の駅で、文字通り「信濃境」である。先日、体温前後の気温が続く関東を出て信濃境駅を訪れてみた。このあたりは富士見高原で、日差しは強いもののさわやかな風が吹き、いかにも高原を感じさせる場所だ。

富士見高原

近くの井戸尻遺跡と井戸尻考古館を訪れたのち、南側へ山道を降っていくと高原を出て釜無川のたもとに出る。ここが、甲州街道上蔦木宿だ。山間の小さな集落で、家には屋号が掲げられているなど今でも宿場町の面影を残している。

上蔦木宿

上蔦木にはバス便がない。といってもう1度急な坂道を登って信濃境に戻るのも面白くないので、甲州街道を山梨県側に向かって歩いてみた。

釜無川に架かる新国界橋という文字通り国境の橋を渡ると、山梨県北杜市白州町上教来石(きょうらいし)である。ここから旧道にそれると、デマンドバスのバス停はあるものの通常のバス路線はなく、最初にあったのがテレビ番組のバス旅でおなじみの下教来石下バス停だ。

ここは山梨県の最も長野県よりにあるバス停で、県境を越えるにはここから歩くしかない。下教来石にはかつて甲州街道の教来石宿があり、ここからは韮崎まで1日6本バスが出ている。

しかし、高原のさわやかさと比べて、山梨県は暑い。戦国時代、教来石には地名を名乗る教来石氏がいた。中世は本当にこんな山の中でも地侍が割拠していた。一族の教来石民部は武田氏家臣の馬場氏の名跡を継ぎ、馬場美濃守信春(信房)と名乗って信玄の重臣として活躍している。

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