『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる

「文章を書くことがストレスです」
「文章を書くことが苦手で……」
「文章を書くのに時間がかかります」

そんな「文章アレルギー」の人は多いのではないでしょうか? しかし、文章を書けるかどうかは、仕事の成果や周囲の評価に大きく関わります。

そんな文章に関する「困った」にやさしく応えてくれるのが、『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』を著書にもつ、山口拓朗さんです。

この連載では、これまでライターとして数多くの取材・インタビューを経験した中から導き出した、「書くことが嫌い」を「書くことが好き」へと変える、文章作成のコツを教えてもらいます。

著者プロフィール

山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所所長。山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を務めたのち、2002年に独立。26年間で3600件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「1を聞いて10を知る理解力の育て方」「好意と信頼を獲得する伝え方の技術」「伝わる文章の書き方」などの実践的ノウハウを提供。著書に『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)、『マネするだけで「文章がうまい」と思われる言葉を1冊にまとめてみた。』(すばる舎)、『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(以上、日本実業出版社)、『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(明日香出版社)、『ファンが増える!文章術——「らしさ」を発信して人生を動かす』(廣済堂出版)ほか多数。

印象がよくなる「体温のある言葉」の添え方

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2023/06/02 12:21

一生モノのスキルになる!
『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる方法  <連載第64回>

伝える力【話す・書く】研究所を主宰し、「文章の書き方」に精通する山口拓朗さんに書き方のコツを教わります。今回は「気の利いた一言」について。

ビジネスライクな冷たい文章を書いていませんか?

メールやチャットを使ってやりとりする際、ビジネスライクな書き方しかできない人は注意が必要です。その場の仕事は捗るかもしれませんが、相手と心の距離を近づけることはできません。

デキるビジネスパーソンほど、文面がビジネスライクになりすぎないよう注意を払っています。温度のない(低い)言葉のやりとりだけでは、相手との信頼関係を深めていけないことを知っているからです。

彼ら彼女らが凝らしている工夫——それは、場面に応じて、相手の気分が上がる「体温のある言葉」を添える、というものです。

「体温のある言葉」のバリエーションを増やしておこう

【原文】
打ち合わせの件、23日(木)の13時〜14時で承知しました。
どうぞよろしくお願いいたします。

この文章は、初対面を控えた相手とのやりとりです。「打ち合わせの日時」という情報は伝わっていますが、書き手の体温は伝わっていません。

【修正文】
打ち合わせの件、23日(木)の13時〜14時で承知しました。
お目にかかれることを楽しみにしております。
どうぞよろしくお願いいたします。

「お目にかかれることを楽しみにしております」とひと言添えるだけで、書き手の体温が伝わり、相手に好印象を持たれやすくなります。「会うのが楽しみ」と言われて気を悪くする人はいません。「お目にかかれることを楽しみにしております」以外にも、「お話できることを楽しみにしております」「お会いできることを心待ちにしております」など、いくつかのフレーズを持っておくといいでしょう。

以下、シーン別に使える「体温のある言葉」です。

【初対面前のメールに使える「体温のある言葉」】
・◯◯様のお名前(ご活躍)は、かねてからうかがっております。
・◯◯様のお噂はかねがね聞いておりました。
・かねてからご挨拶したく機会をうかがっておりました。
・一度お目にかかりたく思っておりました。

【初対面後のメールに使える「体温のある言葉」】
・本日はお会い(ご一緒)できて光栄でした。
・本日はお目にかかることができて嬉しかったです。
・本日はざっくばらんにお話できて楽しかったです。
・本日は貴重な時間(機会/ご縁)をいただき、ありがとうございました。
・またお目にかかりたく存じます。
・またお会いできる機会を楽しみにしております。
・◯◯様とのご縁を大切にさせていただきます。
・これから仕事でご一緒できることに興奮しております。

【ふだんのメールに使える「体温のある言葉」】
・いつも◯◯のためにご尽力いただき、ありがとうございます。
・いつも◯◯のためにお力添えいただき、ありがとうございます。
・いつも◯◯のためにお骨折りいただき、ありがとうございます。
・いつも無理をきいていただき、感謝しております。
・いつも親身になって対応いただき、感謝しております。

TPOをわきまえながら「体温のある言葉」を使おう

もっともTPOの見極めは大切です。スピーディにやりとりしているときに「体温のある言葉」を混ぜてしまうと、それがノイズとなり、相手に負担をかけてしまうようなこともあります。

テンポのいいやりとりが求められるチャットなどでは、そのつど「体温のある言葉」を入れるのではなく、“ここぞ”という場面で入れるようにしましょう。ある程度、重要なやりとりが終わったところで「小林さんの質の高い仕事ぶりに助けられています」「小林さんのサポートがあれば百人力です」と添える、といった具合です。

仕事において「人とつながる大切さ」を理解している人ほど、TPOをわきまえながら、相手の気分が上がる「体温ある言葉」を添えています。相手にいい印象を持ってもらえるほど仕事がしやすくなり、結果、成果を出しやすくなります。どんな言葉を使えば相手の気分が上がるか、文面の印象がよくなるか。ふだんから考えるクセをつけましょう。


山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所所長。山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を務めたのち、2002年に独立。26年間で3600件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「1を聞いて10を知る理解力の育て方」「好意と信頼を獲得する伝え方の技術」「伝わる文章の書き方」などの実践的ノウハウを提供。著書は『マネするだけで「文章がうまい」と思われる言葉を1冊にまとめてみた。』(すばる舎)、『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(以上、日本実業出版社)、『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(明日香出版社)、『ファンが増える!文章術——「らしさ」を発信して人生を動かす』(廣済堂出版)ほか多数。

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