人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

●サイト(オフィス・モリオカ)
  → https://office-morioka.com/
●ツイッター
  → http://twitter.com/h_morioka
●facebookページ
  → https://www.facebook.com/officemorioka/
●Instagram
 → https://www.instagram.com/office_morioka/

 

四十九という地名

このエントリーをはてなブックマークに追加

2023/04/11 10:08

先日、所用で伊賀に行ってきた。JR関西本線で伊賀上野駅に行き、そこから伊賀鉄道に乗り換えてま上野市駅でいったのだが、路線図を見るとその先に「四十九」という駅があった。どうやら、平成30年に49年振りに復活した駅のようだ(旧駅とは場所が違う)。面白そうなので、あとで訪れてみた。

四十九駅があるのは、伊賀市四十九町。地名が「四十九」である。ホームの駅名標をみると「しじゅうく」ではなく、「しじゅく」とあった。近くにはイオンがあり、駅名標には「イオンタウン伊賀上野前駅」という副駅名も書かれている。

ところで、「四十九」という地名は珍しい。どういう謂れがあるのか調べてみると、意外と石川県や滋賀県など他にもあることがわかった。伊賀市四十九は古くは四十九院村といい、奈良時代に行基が建てた寺(院)の1つがあったことに因むという。

そして、石川県加賀市山中温泉四十九院町、滋賀県犬上郡豊郷町四十九院という地名も同じく行基の建てた寺に因んでいる。ただし、伊賀市の四十九は行基が1国に1つずつ建てたとしているのに対し、石川県では畿内に49寺、豊郷村では郡内に49寺と食い違っている。

いずれも伝承にすぎないが、それだけ行基の業績は民衆の間に浸透していたのだろう。

このエントリーをはてなブックマークに追加

ページのトップへ