人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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「どうする家康」の徳川家康のルーツ、松平郷

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2022/11/29 10:59

来年のNHK大河ドラマは「どうする家康」。主人公の徳川家康が次々と難局に立ち向かい、「どうする?」と悩みながら成長していく物語だ。この徳川家康というのは、今川家から独立してからの名前。それまでは、今川義元から名前の一部を貰った(偏諱という)、松平元康という名前だった。そこで、松平一族のルーツの地である松平郷を尋ねてみた。

松平郷があるのは愛知県の東部豊田市で、豊田市駅からバスが出ている。豊田市までの行き方にはいろいろあるが、今回は新幹線で豊橋まで行き、そこから名鉄に乗り換えて知立経由で豊田市駅へ。大沼行きのバスは2時間に1本しかないため、あらかじめ時刻表で確認しておく必要がある。

バスは豊田市駅から東に向かって市街地を抜け、私以外の乗客が下りてしまった後も山間部の谷間をしばらく走って松平郷に着いた。ここが終点ではなく、空っぽのままさらに東へと走って行った。

地理院地図でみると、この付近は比較的等高線の間隔が広く、なだらかな地形が広がっていることがわかる。松平一族はこの少しだけ開けた地に室町時代から勢力を持っていた。「松平」という地名は、「松が繁っていた比較的平らな土地」に因むという。この地にいた1小土豪が天下を統一するには、大きな苦労があったはずだ。

地名の由来となった松平郷のマツ

ちょうど紅葉の時期でもあったことから、思ったより人が出ていた。すでに幟が立てられており、来年ドラマが始まるとさらに賑わうに違いない。

松平郷の紅葉
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