人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

●サイト(オフィス・モリオカ)
  → https://office-morioka.com/
●ツイッター
  → http://twitter.com/h_morioka
●facebookページ
  → https://www.facebook.com/officemorioka/
●Instagram
 → https://www.instagram.com/office_morioka/

 

仁田忠常のルーツと子孫

このエントリーをはてなブックマークに追加

2022/08/23 10:41

(画像はNHK公式サイトよりキャプチャ)

このところ毎回主要人物の退場が続く、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」。21日の放送では仁田忠常が2代将軍頼家と北条氏との間で板挟みとなって自害した。仁田忠常はお笑いコンビ、ティモンディの高岸宏行が好演。ドラマ当初から出続けていただけに、ネット上でも惜しむ声が続出した。因みに実際には自害ではなく、北条氏に疑われて討たれたとみられている。

さてこの仁田忠常、ドラマでは「にった殿」と呼ばれていることから「新田」と勘違いしている人も多い。さらに南北朝時代に活躍した新田義貞の先祖と思っている人もいるようだ。

しかし、この仁田氏と新田義貞は全く別の一族である。仁田氏は伊豆国田方郡仁田(静岡県田方郡函南町)がルーツで藤原南家工藤氏の一族。ドラマに登場した伊東氏などと同族である。一方新田義貞は清和源氏の名門で、ルーツの地は上野国新田郡新田荘(群馬県太田市)である。

仁田忠常が討たれた際、弟も一緒に討たれ、鎌倉御家人としての仁田氏は滅亡した。しかし子孫は同地で続き、幕末から明治にかけて地域振興に尽くした仁田常種は同家の35代目にあたる。さらに37代目の大八郎は昭和初期に衆議院議員となり、38代目の孝は函南村長をつとめるなど、同地きっての名家である。

このエントリーをはてなブックマークに追加

ページのトップへ