日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2021/12/14 11:39
11日、千葉県内房の安房勝山に行ってきた。JR武蔵小杉駅から電車で行くと木更津で1回乗り換えるだけで行くことができる。とはいえ、特急を使わないと快速と各駅停車を乗り継いで3時間弱。ちょっとした小旅行である。
さて、安房勝山は自治体名でいえば千葉県鋸南町。好天でもあり、2両編成の電車には立っている人も多かったが、鋸山のある浜金谷駅でかなりの人が降り、安房勝山駅で下車したのはわずかに数人。残りの大半は館山まで行くのだろう。
駅を降りて向かったのは、駅の西前方にみえる大黒山。海沿いにある標高75mの山の中腹に醍醐新兵衛の墓がある。
「醍醐」という名字を聞くと、公家の醍醐家を思い浮かべるが、この醍醐家は別の家。出自ははっきりしないものの、戦国時代の里見氏時代にはすでにこの地の有力者だったらしく、代々新兵衛を称して江戸時代には江戸湾のツチクジラ捕鯨の総網元でもあった。また、勝山藩からは名字帯刀を許され大名主もつとめ、維新後は北洋漁業の開拓や洋式捕鯨の導入にも尽力した。
頂上までの階段を登ると展望台があり、遠くには富士山も見えた。南西の方角には磐鹿六雁命(イワカムツカリノミコト)が景行天皇に料理をふるまったという伝説のある浮島もある。磐鹿六雁命はここでカツオとハマグリを採って料理、景行天皇に献上すると天皇から「膳(かしわで)」という姓を賜り、以後膳氏は朝廷の食膳を担当した。
あまり知名度の高くない駅だが、日本の食に関して歴史的には重要な場所である。