人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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新庄監督の名字のルーツ

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2021/11/16 09:00

(画像は日本ハムファイターズ公式サイトよりキャプチャ)

日本ハムに新庄剛志監督が就任した。多くの人が「まさか」と思った人事で、そのド派手な会見以降、スポーツニュースの話題をさらっている。この2年間はコロナ禍でスポーツ界は満足な集客ができなかったため、新庄監督で球界全体が盛り上がることは大きいだろう。

ところでこの「新庄」という名字、全国ランキングでは3000位以内なのでメジャーな名字だが、あまり多いとは感じないのではないだろうか。

というのも、東北・沖縄・九州南部を除いて、各地にまんべんなく分布しているからだ。滋賀県や富山県には比較的多いものの、それでも「集中している」というほどではない。

「新庄」とは文字通り「新」しい「庄」のこと。「庄」は「荘」とも書き、荘園を指している。荘園とは中世に貴族や寺社が所有した私有地のことで、荘園は名字のルーツに大きく関係している。

新しい荘園に関係していた人が名乗ったのが「新庄」「新荘」で、荘園を管理した人の名字が「庄司」や「荘司」である。この「しょうじ」は「庄子」「東海林」などにも変化した。一方、新庄に対して元からある荘園は「本庄(荘)」「古庄(荘)」といった。

こうした荘園を自衛するために武士が生まれ、彼らが土地の名前を名乗ることで武士の世界に名字が広がっていった。

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