人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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堂ヶ島のトンボロ

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2021/10/04 09:34

トンボロ、という言葉を聞いたことがあるだろうか。一般にはなじみのない地理用語だが、近年は地理学が人気のため、ネット上でもときどき見かけるようになってきた。日本語では陸繋砂州(りくけいさす)といい、文字通り「陸」と「繋がった」「砂州」のことだ。

海岸のすぐ近くに島があると、その間は波が弱まり、そこに周辺の河川などから運ばれてきた砂が堆積して地続きになることがある。こうした地続きとなった島を陸繋島といい、日本では江の島が有名。この陸繋島と陸地を繋ぐ砂州がトンボロである。そして、このトンボロには干潮の時にだけ姿を現すものがある。海外ではフランスのモンサンミッシェルや、韓国の珍島が有名だ。

日本でも各地にあり、有名なのが伊豆・堂ヶ島の三四郎島。この島は伝兵衛島・中ノ島・沖ノ瀬島・高島の4つの島から成り立っているのだが、見る角度によって3つに見えるためこの名がついたという。そして、干潮時に一番手前の伝兵衛島までトンボロで繋がる。

先日伊豆を訪れた際に立ち寄ったのだが、人が濡れずに渡れるほどの砂州が出現するのはかなり限定されており、私のときも見えたのは出現途上の様子まで。春の大潮の頃が最もいいらしく、再チャレンジしたい。

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