汎用性の高いフレーズを使えるようにしておこう
仕事におけるコミュニケーションでテキスト(文章)を使う機会が増えつつあります。ふだんはあまり使わないものの、仕事のやり取りで重宝する表現や言い回しは覚えておくと、スマートに会話が進みます。
【便利な表現①:存じます】
△ ご多用とは思いますが、ご検討のほどよろしくお願いします。
◯ ご多用とは存じますが、ご検討のほどよろしくお願いします。
「存じます」は、「思う」や「知る」の謙譲語「存ずる」に丁寧語の「ます」を添えた、相手を立てる敬語表現です。同僚や部下に対して使うにはやや堅苦しい表現ですが、相手が目上の人や上司、取引先であれば、丁寧で誠実な印象を与えることができます。
また、自分の意見を伝えるときにも「存じます」を重宝します。「A案がよろしいかと存じます」という具合に、へりくだりながらも、しっかりと自分の意見を伝えることできるからです。「ありがたく存じます」「光栄に存じます」のように、お礼を伝えるときにも使いやすいフレーズです。
【重宝表現②:幸いです】
△ 28日(月)までに写真データをお送り願います。
◯ 28日(月)までに写真データをお送りいただけますと幸いです。
「幸い」は、◯◯してくれたら「(私は)嬉しい」「(私は)ありがたい」という意味です。「○○してください」とストレートな命令調で書くよりも、文面の印象が丁寧かつソフトになります。
ただし、そのソフトさゆえ、相手に対する拘束力は“ユルめ”です。期限を厳守してもらいたいときは「28日(月)までに写真データをお送りいただけますよう、何卒お願い申し上げます」と強めにお願いする必要があります。相手が目上のときは「幸いです」の代わりに「幸甚です」や「幸いに存じます」と書くのもよいでしょう。
【重宝表現③:〜したく】
△ 〜についてご確認したいと思い、ご連絡いたしました。
◯ 〜についてご確認したく、ご連絡いたしました。
「○○したいと思います」や「○○したいため」というニュアンスの文章を書きたいときに「~したく」という表現が使えます。「〜したく」を使うと、くどくどしさが消え、スッキリと丁寧な印象を与えることができます。
なお、①でお伝えした「存じます」と組み合わせた「○○したく存じます」も、メールで使える頻出フレーズです。「アイデアをお聞かせいただきたく存じます」という具合です。
【重宝表現④:ご査収】
△ お見積書をご確認のうえお受け取り願いいたします。
◯ お見積書をご査収いただけますよう、お願いいたします。
「査収」とは「金銭や書類などをよく調べて受け取る」という意味です。相手に確認してもらいたい書類(請求書や見積書、企画書など)を送るときなどに適した表現です。
なお、こちらの都合で送る資料(自社商品の案内資料など)については「ご査収」ではなく、「お時間のあるときにご覧ください」「○○をご笑納ください」という表現を使うといいでしょう。
【重宝表現⑤:拝受/拝見/拝読/拝聴など】
△ 企画書を受け取りました。
◯ 企画書を拝受しました。
「拝」は「謹んで」という意味を含む謙譲語。目上の人や取引先など相手に敬意を示すことができます。自分がへりくだる謙譲語ですので「拝見いただけますよう〜」や「拝聴いただけましたでしょうか」のように、相手の行為に使うのは間違いです。
ちなみに、これらの言葉に「いたす」をつけて「拝受いたしました」とするのは、ひとつの単語にふたつ以上の敬語を重ねる「二重敬語」です。しかし、実際には使用している人も多いため(習慣として定着してきているため)、もはや「誤り」と言い切れません。
【重宝表現⑥:問題ありません(ございません)】
× 大丈夫です。/結構です。
◯ 問題ございません。
確認を求められた際、「大丈夫です/結構です」と書くと、イエスとノーのどちらなのかがわかりにくくなります。イエスの意味で使うときは「問題ない」の丁寧語である「問題ありません(ございません)」と書きましょう。
なお、「問題ございません」は「よろしいです。結構です」という許可を示す意味でも使われるので、人によっては“上から目線”と感じる人もいるようです。目上の人や取引先に「それでOK」というニュアンスを伝えたい時は「ご案内いただいた方法で進めていただけますと幸いです」のように、具体的な言葉で置き換えるようにしましょう。
以上、仕事のメールで使える便利な表現をご紹介しました。場面や相手との関係性に応じて、上手に使い分けましょう。