『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる

「文章を書くことがストレスです」
「文章を書くことが苦手で……」
「文章を書くのに時間がかかります」

そんな「文章アレルギー」の人は多いのではないでしょうか? しかし、文章を書けるかどうかは、仕事の成果や周囲の評価に大きく関わります。

そんな文章に関する「困った」にやさしく応えてくれるのが、『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』を著書にもつ、山口拓朗さんです。

この連載では、これまでライターとして数多くの取材・インタビューを経験した中から導き出した、「書くことが嫌い」を「書くことが好き」へと変える、文章作成のコツを教えてもらいます。

著者プロフィール

山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所所長。山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を務めたのち、2002年に独立。26年間で3600件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「1を聞いて10を知る理解力の育て方」「好意と信頼を獲得する伝え方の技術」「伝わる文章の書き方」などの実践的ノウハウを提供。著書に『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)、『マネするだけで「文章がうまい」と思われる言葉を1冊にまとめてみた。』(すばる舎)、『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(以上、日本実業出版社)、『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(明日香出版社)、『ファンが増える!文章術——「らしさ」を発信して人生を動かす』(廣済堂出版)ほか多数。

やりがちだからこそ注意!言葉の「重複・二重表現」

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2021/05/12 16:07

一生モノのスキルになる! 『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる方法<連載第39回>

伝える力【話す・書く】研究所を主宰し、「文章の書き方」に関する著書も多い山口拓朗さんに書き方のコツを教わります。今回は、くどくどしい言葉の「重複・二重表現」について。

まどろっこしい「言葉の重複」に注意!

この連載の一覧はこちら

一文の中で同じ意味の言葉を重ねて使うと、読む人に稚拙でくどくどしい印象を与えます。言葉の重複に気づいたときは、言葉を削ったり、言い換えたりするなどの工夫をしましょう。

 

【重複文】
動画を撮影するときには、画角に注意して撮影してください。
【修正文】
動画を撮影するときには、画角に注意してください。

【重複文】
その商品は、悪い商品ではない。
【修正文】
その商品は、悪くはない。

【重複文】
明日の会議で決定したいのは、イベントの開催日時と会場を決めます
【修正文】
明日の会議では、イベントの開催日時と会場を決めます。

【重複文】
そのカフェは、フレーバーコーヒーをウリにしているカフェです。
【修正文】
そのカフェは、フレーバーコーヒーをウリにしています。

 「商品は〜商品ではない」も、「撮影するときには〜撮影してください」も、「決定したいのは〜決めます」も、「カフェは〜カフェです」も、意味こそ通じますが、文法的には奇妙です。言葉の重複を防ぐためには、主語と述語のつながりをスムーズにしておくことも大切です。

多くの人が無自覚で使っている「二重表現」

「言葉の重複」同様、同じ意味の言葉を重ねて使う、いわゆる「二重表現」にも注意しましょう。

× まず一番最初に取り組まなくてはいけないことは〜
◯ まず取り組まなくてはいけないことは〜
◯ 一番に取り組まなくてはいけないことは〜
◯ 最初に取り組まなくてはいけないことは〜

「まず一番最初」は、二重表現ならぬ三重表現です。三重表現は稀ながら、二重表現を見かけるケースは少なくありません。二重表現を使ってしまう人のほとんどが、自分が二重表現を書いていることに無自覚です。それゆえ、何度も同じ間違いをしてしまうのです。

以下は、しばしば見受けられる二重表現です。

×約5個くらい/約5個、5個くらい
×あらかじめ予告する/予告する
×辞意の意向を伝える/謝意を伝える
×尽力を尽くす/尽力する
×途中で中断する/中断する
×あとで後悔する/後悔する
×伝言を伝える/伝言する
×~にしか過ぎない/〜に過ぎない
×慎重に熟慮する/熟考する
×はっきり断言/はっきり言う、断言する
×内定が決まる/内定する
×捺印を押す/捺印する、印鑑を押す
×返事を返す/返事をする
×雪辱を晴らす/雪辱する、雪辱を果たす
×必ずしも必要ない/必要ない
×過半数を超える/過半数に達する

「話し言葉」で違和感がなければ許容される?

なお、二重表現のなかには、おおむね許容されているものもあります。二重表現の許容については「話し言葉」と関係していて、話し言葉で違和感を覚えないものは文章中でも許容されやすくなります。以下はその一例です。

  • 被害を被る
  • 遺産を遺す
  • 選挙戦を戦う
  • 上を見上げる
  • 犯罪を犯す
  • 歌を歌う/踊りを踊る
  • 指を指す

二重表現の使用を防ぐためには「世の中で使われがちな二重表現」や「自分が普段つい使ってしまう二重表現」について把握しておくことも大切です。把握していれば、うっかり書いてしまうリスクを減らすことができるでしょう。あわせて、他人が書いた文章の二重表現に気づく眼力も磨いておきましょう。

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そもそも文章ってどう書けばいいんですか?

「文章を書くことがストレス」「書くのに時間がかかりすぎる」「そもそも頭のなかにあることを文章にできない」……本書はそうした「文章アレルギー」のある人たちに、マンガを織り交ぜながら、わかりやすく文章の書き方をレクチャーしていきます。

著者:山口拓朗

価格:¥1,400-(税別)

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