『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる

「文章を書くことがストレスです」
「文章を書くことが苦手で……」
「文章を書くのに時間がかかります」

そんな「文章アレルギー」の人は多いのではないでしょうか? しかし、文章を書けるかどうかは、仕事の成果や周囲の評価に大きく関わります。

そんな文章に関する「困った」にやさしく応えてくれるのが、『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』を著書にもつ、山口拓朗さんです。

この連載では、これまでライターとして数多くの取材・インタビューを経験した中から導き出した、「書くことが嫌い」を「書くことが好き」へと変える、文章作成のコツを教えてもらいます。

著者プロフィール

山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所所長。山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を務めたのち、2002年に独立。26年間で3600件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「1を聞いて10を知る理解力の育て方」「好意と信頼を獲得する伝え方の技術」「伝わる文章の書き方」などの実践的ノウハウを提供。著書に『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)、『マネするだけで「文章がうまい」と思われる言葉を1冊にまとめてみた。』(すばる舎)、『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(以上、日本実業出版社)、『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(明日香出版社)、『ファンが増える!文章術——「らしさ」を発信して人生を動かす』(廣済堂出版)ほか多数。

ビジネスシーンで信頼度が上がる二強の接続詞

このエントリーをはてなブックマークに追加

2021/03/03 16:14

一生モノのスキルになる! 『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる方法<連載第37回>

伝える力【話す・書く】研究所を主宰し、「文章の書き方」に関する著書も多い山口拓朗さんに書き方のコツを教わります。今回は、ビジネスシーンでの効果的な接続詞の使い方について。

文章が上手い人ほど「接続詞」を使いこなしている

この連載の一覧はこちら

文章と文章を接続し、話の流れを整える役割を担う「接続詞」。文章が上手な人ほど接続詞を適切かつ効果的に使っています。

接続詞には「読む人に文章の行く先を知らせる役割」があり、その中には、「接続詞のあとに続く文章の内容を決める役割」を備えているものもあります。つまり<この接続詞を使ったら、続いて必ず◯◯について書かなければいけない>というタイプのものです。

ふだん説得力の高い文章を書いている人ほど、このタイプの接続詞を上手に使っています。本稿ではビジネスシーンで重宝する「説得力が高まる2つの接続詞」をご紹介します。

「なぜなら」で理由・根拠を明確に示す

接続詞「なぜなら」は、それまで述べた内容の「理由・根拠」を伝えたいときに使います。理由や根拠を明確にすることで、論理性が強化され、文章全体の説得力が高まります。

【例文】
私はA案に賛成です。
なぜなら、スマホを使うことによってメインターゲットである20代女性に訴求しやすくなるからです。

 もしも、この文章の「なぜなら」以降が書かれていなかったとしたら、読む人は納得できないでしょう。理由が不明瞭だからです。

ビジネスシーンにおいては「理由・根拠」が極めて重要です。どんな結論も理由がなければ(もしくは弱ければ)、その結論の価値は低減します。ふだんから「なぜなら」を使っている人は、理由を語ることへの意識が高い人です。

もっとも、「なぜなら」と書いたからには、読む人が納得するにふさわしい理由・根拠を書かなければいけません。自分の結論を支える理由・根拠は何なのか? 文章を書く前に、この点についてしっかり考える必要があります。

ちなみに、「なぜなら」というフレーズは、必ず「〜(だ)から」で受ける呼応表現です。「〜(だ)から」を省略しないようにしましょう。

✕ なぜなら、テレワークの影響で夫婦が一緒に過ごす時間が増えています。
○ なぜなら、テレワークの影響で夫婦が一緒に過ごす時間が増えているからです。

「たとえば」で具体例を示し、理解を深める

接続詞「たとえば」は、それまで述べた内容についての具体的な例(体験談や事例、詳細など)を示したいときに使います。具体例を示すとことによって、読む人の理解が格段に深まります。

「たとえば」は、“これから一例をお見せしますね”というシグナルのようなものです。この言葉を書くことによって、読む人は具体例を受け取る準備を整えます(結果として理解度が高まります)。

【例文】
集客方法もそれぞれ異なります。たとえば、A社ではインターネット広告を多用していますが、B社ではSNSを使ったファンづくりに注力しています。

【例文】
佐藤社長の発言が物議を醸すことは少なくありません。たとえば、「リストラされた50代のビジネスパーソンに門戸を開く」というアイデアもそのひとつです。

どちらの例文も、冒頭の一文目だけでその真意を理解することはできませんが、「たとえば」を用いて具体例を示すことで、理解度はもちろん、説得力も圧倒的に高まります。

仮に、一文目で文章が終わっていたら(具体例がなかったとしたら)、読む人は「異なるって……どういうこと?」「物議を醸す発言って……どんな物議?」とモヤモヤすることでしょう。

「たとえば」のあとに続く文章を読んだ読者が、頭の中でリアルな様子や映像を思い浮かべられたら、その具体例は及第点です。具体例が複雑すぎると理解度が下がります。できるだけシンプルに伝えるよう心がけましょう。

「結論」「理由・根拠」「具体例」を語ると信頼度UP

ビジネスシーンで文章を書く際に大事なのは「結論」「理由・根拠」「具体例」の3点です。結論がはっきりしないのは論外としても、結論を下支えする「理由・根拠」や「具体例」が抜け落ちてしまうのもよろしくありません。

「理由・根拠」と「具体例」を確実に導き出すための接続詞が「なぜなら」と「たとえば」です。この2つの接続詞を意識的に使うことによって、読む人の納得度が格段に高まります。

「理由・根拠」と「具体例」は、営業メールから企画書、提案書、報告書まで、あらゆるビジネス文章に求められる要素です。「なぜなら」と「たとえば」を有効活用していきましょう。

このエントリーをはてなブックマークに追加

そもそも文章ってどう書けばいいんですか?

「文章を書くことがストレス」「書くのに時間がかかりすぎる」「そもそも頭のなかにあることを文章にできない」……本書はそうした「文章アレルギー」のある人たちに、マンガを織り交ぜながら、わかりやすく文章の書き方をレクチャーしていきます。

著者:山口拓朗

価格:¥1,400-(税別)

オンラインストアで購入する

テキスト採用など、大量・一括購入に関するご質問・ご注文は、
弊社営業部(TEL:03-3268-5161)までお問い合わせください。

ページのトップへ