人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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正親町の読み方

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2021/01/18 10:21

いよいよ本能寺の変が近づいてきた17日の大河ドラマ「麒麟がくる」では、正親町天皇を演じた坂東玉三郎の佇まいと圧倒的な存在感が話題になっている。ストーリーでも重要な役割を果たしており、明智光秀の謀反にも影響を与えそうだ。

この正親町天皇、歴史に詳しい人だと当然のように「おおぎまち」と読めるが、そうでないと、「正親」の部分を「おおぎ」と読むのはなかなかの難読である。

「正親町」は京都の地名に由来している。現在の中立売(なかだちうり)通は正親町通ともいい、かつては平安京の正親町小路であった。律令制では皇族(おおきみ)の名籍(官位・姓名・年齢などを書き記したもの)を管理する正親司(おおきみのつかさ)という役職があり、この役所があったことに因む地名である。

正親町通に由来するものとしては、公家に正親町家という家もあった。藤原北家で、幕末には一族から孝明天皇の生母も出し、明治時代には伯爵となった名家であった。もう一家、正親町三条家という長い名字の公家もあったが、こちらは明治になって嵯峨家と改称している。

なお、現在中立売には正親小学校があるが、読み方は「せいしん」小学校である。

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