人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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「馬」のつく名字

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2021/01/12 10:43

(photo by PROMA/Adobe stock)

前回「牛」のつく名字についててみたので、今回は「馬」のつく名字について。

「馬」のつく名字の最多は、151位の「馬場(ばば)」。馬の調練をした場所を「馬場」といい、ここから地名や名字が生まれた。

2位は「相馬」、3位は「有馬」、4位は「対馬」で、ここまでが名字ランキングでは1000位以内。「相馬」は茨城県の地名、「有馬」は兵庫県や長崎県、三重県などの地名、「対馬」は長崎県の対馬や愛知県の津島に因む、地名由来の名字だ。

5位以下は、「馬渕」「門馬」「馬渡(まわたり)」「中馬(ちゅうま)」「美馬」「馬越(うまこし)」と続き、「馬」のつく名字トップテンはすべて3000位以内に入るメジャーな名字である。なお、次点は「ばんば」と読む「馬場」。「馬場」は全国的には「ばば」が大多数だが、滋賀県と京都府南部では「ばんば」と読むことも多く、とくに草津市や大津市では「ばんば」の方が圧倒的に多い。

江戸時代以前、馬は武士の乗り物として重要で、優れた馬は贈答品としても重宝された。また、物資の運搬や農耕にも広く利用されるなど、馬は日常生活とも切り離すことのできない重要な動物であったことから、地名や名字にも広く利用された。

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