「私の言うことって、どうしてうまく伝わらないのだろう」
「あのとき言ったことで、なぜムッとされたのだろう」
言葉は、自分が思っていた通りに受け取られないもの。「それを適切に言い換えるとすれば?」というテーマで好評を博したコラムがリニューアル!
職場に限らず、日常会話でもよくある「こんなときどう言えばいい?」という疑問の答えを、テレビ朝日を退社後、フリーアナウンサーや話し方講座の講師として活躍する渡辺由佳氏が解説します!
(毎月第2・4水曜日更新予定)
2020/11/12 16:33
どこの保育園や幼稚園にも、口よりも手が先に出てしまうお子さんがいると思います。
そういう子とケンカして、自分の子供が怪我をして帰ってきたとき、相手の親から先にお詫びを言われれば事なきを得ます。先にお詫びを言うお母さんは「お友達をたたいたり、引っかいたりしてはいけないと、よく叱っておきました」と、先方からこちらがして欲しいことをちゃんとわかって、お詫びを言ってくれるからです。
でも、相手の親が必ずきちんとお詫びを言ってくれるとは限りません。私も、子供が幼稚園に通っていたころに同じような経験をしたことが何度かあります。
ある日、幼稚園から帰る時刻になったので迎えに行ったら、担任の先生が息子を連れて飛び出してきて「今日〇〇くんに顔をひっかかれて、傷がついてしまいました。申し訳ありません。〇〇くんに事情を聴いたところ、□□くん(息子)が自分の遊んでいた積み木を横取りしたので、顔をひっかいてしまったと話していました。本当に申し訳ありません」とお詫びを何度も言われました。
先生には「うちの息子も悪いのですから」とその場では言いましたが、やはり釈然としませんでした。先生の言い方がうちの息子も悪いと言っているようにも聞こえたからです。そもそも、〇〇くんはクラスの親御さんたちの間でも「少し乱暴な子」という評判が前々からあったこともあり、「ついにうちの息子も犠牲になったか」と思いました。
ですので、翌日そのお母さんと会ったとき、思い切って「昨日、息子が顔にケガをして帰って来まして……」と伝えました。すると、そのお母さんは「〇〇に聞いたら、□□君が何度も自分の遊んでいる積み木を横取りしたからついついやってしまったと言ってました。うちもお兄ちゃんがよくケガをして帰ってきて……」とお兄ちゃんの話にすり替えられてしまい、結局きちんとしたお詫びの言葉を聞いた記憶がありません。
子供のこととなると、親はどうしても感情的になり、親同士の話し合いではなかなかうまくいかないものです。もし、乱暴な子の担任の先生があまり積極的に関与してくれないときは、主任の先生や園長先生に相談してみることをお勧めします。
「いつも大変お世話になっております。今日はご相談があって参りました。先日、息子が〇〇くんに顔を引っかかれて血がでるくらいケガをして帰ってきました。男の子ですからそういうこともあるとは思いますが、他の女の子のお子さんたちも〇〇くんのことを怖がって『幼稚園に行きたくない』などと言ってお休みしたがることもあるようです」
伝えるのはここまでです。幼稚園や乱暴な子自身、その親御さんを責めたりせず、事実のみを淡々と伝えましょう。ここまで伝えれば、幼稚園として何らかの対処をせざるを得なくなります。担任の先生も、園長や主任から言われれば組織社会ですので、対処の方法を考えて動き出すでしょう。
子供の親同士では解決できないことはたくさんあります。そんなときは、幼稚園や保育園も組織であることを思い出して、上の立場の先生に相談するようにしてみると良いと思います。
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