「私の言うことって、どうしてうまく伝わらないのだろう」
「あのとき言ったことで、なぜムッとされたのだろう」
言葉は、自分が思っていた通りに受け取られないもの。「それを適切に言い換えるとすれば?」というテーマで好評を博したコラムがリニューアル!
職場に限らず、日常会話でもよくある「こんなときどう言えばいい?」という疑問の答えを、テレビ朝日を退社後、フリーアナウンサーや話し方講座の講師として活躍する渡辺由佳氏が解説します!
(毎月第2・4水曜日更新予定)
2020/10/26 17:58
テレワークになって何が一番良かったかというと、「職場の人からのプライベートに関する余計な詮索をされないで済んで、心の平和が保たれていること」という人も結構いるのではないでしょうか。
下手をすれば家族以上に時間をともにしているかもしれない職場の上司や同僚に、
「最近、彼(彼女)とうまくいってるの?」とか
「そろそろ結婚しないの?」
などといわれ続けたら、憂鬱になってしまうでしょう。
実は私のアナウンサー時代にも、顔を合わせるたびに「由佳、彼氏できた?」と聞いてくる男性の先輩がいました。
聞かれるたびにうっとおしいなあと思っていましたが、まともな返事を期待されているわけでもないことは薄々わかっていましたので、仕事で貴乃花の取材をよくしていた頃であれば「もうすぐ貴乃花を寄り切れそうです」とか「最近は、貴乃花より若乃花かな?って思ってます!」など、面白可笑しく返していました(もちろん、事実ではありません)。それでも、先輩が「おもしろい!」と言ったときには「やった!」と思いました。
今にして思えば「いかに相手を笑わせるコメントを返せるのか」を試されていたのかもしれません。日々、コメント力を鍛えられていたのです。
もっとも、アナウンサーのようなコメント力が求められる仕事なら「これはそういうトレーニングなんだ」と受け取ることもできますが、そうではない人が「答えるのが嫌だな」と思うことを聞かれたときには直球で返さず、煙に巻くようなコメントを普段からいくつか用意しておくのも良いかもしれません。
たとえば、「どこに住んでるの?」や「LINEのアカウント教えて!」などと言われたら、「それトップシークレットなので、お話できないんですよ」と言って、フフフと笑うとか、「彼(彼女)とうまくいってるの?」などと聞かれたら、「一点の曇りもなく、晴天です!!」といったような比喩表現を使ってみる。「そろそろ子どもは欲しくないの?」と聞かれたら、「〇〇さんは、子供を持って良かったですか?」と逆質問をしてみる。
このようなコメントをあらかじめ用意しておけば、どんな困ったプライベートの質問をされても何とか乗り切れると思います。
もちろん、正攻法で、「その質問、セクハラじゃないですか?」と相手を糾弾する方法もあります。しかし、これは組織社会で働く以上、最後まで取っておくべき「伝家の宝刀」ともいえる返し方です。できる限り、この刀を抜く前に言葉の一工夫でやり過ごすほうがいいように思います。
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