日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2020/07/20 15:21
イタリア・ボローニャでプレーしているサッカー日本代表の冨安健洋選手が、対ACミラン戦でセリエAで初ゴールを決めた、というニュースが大きく流れていた。セリエAでの日本人の得点は9人目、名門ACミランから得点をあげたのは中田英寿以来21年振り2人目とのことだ。
この冨安選手、「とみ」という漢字は「富」ではなく、点のない「冨」。この2つの漢字は一見気がつかないことも多く、2020年7月20日現在googleで「冨安健洋」と検索すると151万件ヒットするのに対し、「富安健洋」でも59万件近くがヒットする(冨安と正しい表記のものも一部含まれている)。
名字ランキングでは、「富安」の方が4000位あたりに対して、点のない「冨安」は5900位前後。これは「冨安」に限らず、「富」を使う名字と「冨」を使う名字では「富」の方が多くなっている。
この違いについてさまざまな説が飛び交っている。一番驚いたのは、あるテレビ局から「富田は金持ちで冨田は貧乏な人が名乗った」という説を持ち込まれたことだが、そんなことはなく「冨」は「富」の異体字で意味的な違いは全くない。
小説家徳富蘇峰とジャーナリスト徳冨蘆花の兄弟は、本来の名字は「冨」だったが、兄は正字の「富」を使い、弟の蘆花は「冨」にこだわった。この兄弟は仲が悪く、あえて違う漢字を使用したといわれている。
この他にも、何かの理由で意識的に「冨」という漢字を使った家はあるが、基本的には「とみ」のつく名字の人が戸籍に登録する際、戸籍を担当する役場の人がどういう漢字を書いたかによる違いに過ぎない。