日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2020/07/06 10:06
東京ではふたたび新型コロナウイルス感染症の患者が3桁を記録するようになった。これに関してテレビでは様々な専門家が登場して解説をしてくれるのだが、最近みかける専門家に、政府の専門家会議構成員でもある釜萢敏日本医師会常任理事がいる。
「釜萢」というのは難読で、初見では読めない人も多そうだ。年配の方だと、歌手のムッシュかまやつをご存じだろう。本名は「かまやつひろし」で、漢字で書くと「釜萢弘」である。ただし、「釜萢」という名字は「かまやち」と読むことが多く、「かまやつ」は珍しい。青森県に古くからある名字である。
さて、この「萢」という他では見たことのない漢字は、方言漢字といわれるものだ。「やち」とは、関東では谷間のことを指すが、東北では低湿地のことを「やち」といった。
「かま」は周囲より急に低くなっている場所を意味している。つまり、「かまやち」とは周囲より低い低湿地のことで、こういう場所は稲作に適している。そして、そこに住んだ人が「かまやち」さんだ。
この「かまやち」に漢字をあてる際、「やち」に相当する漢字が見つからず、「萢」という漢字を作り出したものだろう。「やち」という名字は北陸にもあり、ここでは「谷内」という漢字をあてている。