人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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難読の地名に変更

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2020/06/22 15:24

(画像はGoogle mapをキャプチャ)

ネット上で面白いニュースをみつけた。それは、栃木県宇都宮市にある「徳次郎」という地名の読みを変更しようという動きがある、というものだ。

「徳次郎」の読み方は「とくじろう」。ちょっと他の読み方は想像しづらい。最近は、難読の地名をひらがなにしたり別の地名に変えたりすることが多いが、「徳次郎」の場合は、これをあえて難読の「とくじら」にするというのだ。

徳次郎は江戸時代に日光街道の宿場として栄えたところで、もともとは「とくじら」と読んでいた。以来、戦後までずっと「とくじら」だったが、昭和29年に宇都宮市に編入された際になぜか「とくじろう」に変更されたという。しかし、南北朝時代からあるという古い読み方はそう簡単にはなくならず、現在でも地元では「とくじろう」と「とくじら」が混在しているとのこと。

そのため、いろいろと弊害が生じたため、今年4月に地元住民が由緒ある読み方である「とくじら」に戻す要望書を市に提出。認められると来年には「とくじら」となるというが、こうした変更は全国的にみてもかなり珍しいと思われる。

地名は、日光の久次良地区にいた一族がここに移り住んできた際に「外の久次良」という意味で「とくじら」としたのが由来という。「えぐる」ことを古語で「くじる」と言った。日光市久次良は大谷川沿いで、その語源は「くじる」だろう。

ちなみに、徳次郎地区に「とくじら」さんがいる。ただし漢字は「外鯨」である。

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