「私の言うことって、どうしてうまく伝わらないのだろう」
「あのとき言ったことで、なぜムッとされたのだろう」
言葉は、自分が思っていた通りに受け取られないもの。「それを適切に言い換えるとすれば?」というテーマで好評を博したコラムがリニューアル!
職場に限らず、日常会話でもよくある「こんなときどう言えばいい?」という疑問の答えを、テレビ朝日を退社後、フリーアナウンサーや話し方講座の講師として活躍する渡辺由佳氏が解説します!
(毎月第2・4水曜日更新予定)
2020/06/24 11:46
Withコロナ時代に入って、スーパーやコンビニの風景もかなり様変わりしました。レジには透明のビニールシートのつい立てが設置されたり、スタッフがフェイスシールドをつけたりと、3か月前にはなかった光景が日常になりつつあります。
そして、もう一つ変わったことがあるのは、レジ袋の有料化です。今年の4月ごろからあちらこちらのスーパーで有料化が始まっていましたが、いよいよ7月1日からは、全国一斉に有料となります。
我が家の近所のスーパーマーケットでは、これまではレジ袋のいらない人が、買い物かごの中に「レジ袋は不要です」というカードを入れてレジを通っていました。ところが最近は、このカードは「レジ袋が必要です」という言葉に変わりました。レジ袋を出さない方がスタンダードになったのです。
そのため、買い物袋やエコバックを持ち歩かなくてはならなくなりましたが、必ずしも持ち歩けるわけでもありません。加えて、すべてのスーパーやコンビニのレジに「レジ袋が必要です」というカードが設置されているわけでもないので、お店のスタッフがその都度「有料のレジ袋が必要かどうか」を聞かなくてはならないケースが見受けられます。
そして客側には、これまで無料だったレジ袋が有料化されたことを快く思わない人もいるでしょう。そのときスタッフ側が感じ良く尋ねるにはどうすれば良いでしょうか。
この2つの言い方はどちらもよく耳にしますが、微妙に違う点があります。それは、主語が違うという点です。
「レジ袋は有料ですが、おつけしますか?」の方はスタッフが主語です。ですから「スタッフがレジ袋を出しましょうか?」と聞いていることになります。このように聞かれると、少しうがった見方をすれば(今は買い物袋は持参する時代なのに、レジ袋を使うの?)と言われているように受け取る人が出るかもしれません。
これに対し「レジ袋は有料ですが、ご利用になりますか?」と尋ねられると、今度は客側が主語になります。「お客様自身が、レジ袋を利用されますか?」と聞かれているので、自分自身で必要かどうかを判断すればいいだけです。たまたま買い物袋を持っていなかったようなときにも、わりとすんなり「お願いします」と、お客様の方も言いやすくなります。
オフィスでもお客様に対し、「資料は、(私が)ご用意しますか?」と尋ねられるよりも「資料は、(お客様が)ご覧になりますか?」と聞かれた方が、客側の立場としては、自分は本当に資料が必要かどうかを判断して「いる・いらない」を答えやすくなります。
質問は「主語が自分か、それとも相手なのか」によって、受け止める側の気持ちが少し変わります。相手がより気持ちよく答えられる質問をするためにも、質問を投げかけるときは主語が自分なのか、それとも相手が主語なのかを意識できると良いでしょう。
緊張は克服しなくてもいい! 元テレビ朝日アナウンサーが、初対面・プレゼン・面接・スピーチなどの緊張する場面で、成功を収めるための考え方・話し方・伝え方のコツを伝授。「言いたいこと」が思いどおりに伝わる話し方ができるようになります。
価格:¥1,400-(税別)
テキスト採用など、大量・一括購入に関するご質問・ご注文は、
弊社営業部(TEL:03-3268-5161)までお問い合わせください。