日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2020/06/01 13:13
28日に放送されたNHK「日本人のおなまえっ!」は、3月に収録したもののニュースの延長で放送できなかった回。あっと驚くような名字がいくつか紹介されたが、中でもインパクトのあったのが「王隠堂」だろう。
この名字、奈良県のごくわずかだけあるもので、番組内でも紹介したように、南北朝時代の後醍醐天皇に因んでいる。後醍醐天皇が奈良の吉野に逃れた際、ある家に匿ってもらい、以来その家では「王隠堂」を名字にしたと伝える。王=後醍醐天皇、隠=かくまう、堂=隠した場所、という意味だ。
後醍醐天皇は他の場所でも名字を与えている。隠岐に流されていた天皇は、名和長年の手引きで島を脱出して伯耆国に上陸した際、地元の戸屋家に匿ってもらった。戸屋家では、鶏のねぐらに偽装して天皇を匿ったことから、「塒(ねぐら)」という名字を与えられたという。島を抜けてきたばかりの後醍醐天皇には、褒美として与えることのできるものは名字くらいしかなかったのであろう。
古い時代の伝承にはかなり話が盛られているものも多いのだが、この逸話では「鶏のねぐら」というあたりに信憑性を感じる。
「塒」という名字は、今でも鳥取県大山町などにある。