「私の言うことって、どうしてうまく伝わらないのだろう」
「あのとき言ったことで、なぜムッとされたのだろう」
言葉は、自分が思っていた通りに受け取られないもの。「それを適切に言い換えるとすれば?」というテーマで好評を博したコラムがリニューアル!
職場に限らず、日常会話でもよくある「こんなときどう言えばいい?」という疑問の答えを、テレビ朝日を退社後、フリーアナウンサーや話し方講座の講師として活躍する渡辺由佳氏が解説します!
(毎月第2・4水曜日更新予定)
2020/01/24 11:00
多くの企業は新年度への切り替わりが近くなると忙しくなりますが、子供を保育園や幼稚園、小学校に通わせている母親たちにとってもそれは同じ。企業で異動してきたり新卒で入社してきた社員と新しい関係が始まるように、母親にとっても新しいママ友との関係が始まる時期でもあります。
それもあってか、少し前に以下のような相談をされたことがあります。
息子が二人とも二十歳を超えている我が家は、こうした「子供や夫、義理の親族への愚痴を交えたママ友たちとの付き合い」から遠ざかっていますが、小さかったころは私も同じように頭を悩ませたものです。そのなかでも一番多い「我が子に対する愚痴」について考えてみましょう。
相談内容でも触れられているように、
「うちの子、毎日宿題をなかなかやらなくて困るのよ」
「スマホのゲームばっかりやっていて、毎日、取り上げるのが大変で……」
などと言われてしまうと、自分の子のことも何か言わなくてはいけない空気になります。そして「うちも忘れ物が多いって担任の先生から注意されて『しばらく、お子さんと一緒に毎晩、翌日の時間割をチェックしてください』って言われて大変だったの」など、もっとダメな話をしないと収まらなくなってしまいます。
どの家庭にとっても子育ては手探りでやるものであり、うまく行かないことの連続です。でも、身近な人の子と自分の子を見比べたときに何か欠点があると、まるで親の責任を突き付けられているように感じられるもの。そうしたとき、自身にダメ出しされるよりずっと落ち込む親御さんも多いでしょう。
だから「みんなで我が子の欠点を語り合うことで、聞くとちょっと安心して救われた気持ちになりたい」という空気が同調圧力に形を変え、子供(ときには夫など)の愚痴自慢に繋がるのでしょう。
そうした空気を振り払う方法ですが、一番いいのは「相手のお子さんをほめること」です。たとえば「うちの子は何につけても行動が遅くて……」と嘆くお母さんがいたら、その子の良いところを見つけてほめてあげましょう。
愚痴に対して「でもね、この間、うちに来た時に遊んだおもちゃを最後まで後片付けしてくれたのは○○ちゃんだけだったよ! お母さんのしつけがいいんだなぁって、感心しちゃったもの」などとその子の良いところを思いっきりほめてあげれば、言われたお母さんも嬉しくなって、また前向きに子育てに向き合えるはずです。
そもそも愚痴大会をするより、こうした「それぞれの子供を褒めたたえる会」にした方がずっと建設的でさわやかな気持ちになれます。以前「アメリカの教育は、子供たちの良いところをとにかく見つけて、ほめて育てる」と文献で読んだことがありますが、日本でももっと良いところにスポットを当てたらいいのに、と私は思います。
正直なところ、私も自分の子育てを振り返ると後悔することが多くあります。もし、二人の息子が小さかった時期に戻ってやり直せるならやり直したいくらいです。
ですが、私が「今ならこのようにやり直す」と考える子育て法も、それが正解なのかどうかわかりません。もしかしたら、子育ての正解なんてないのかもしれない。だからこそ「今のままで大丈夫!」と誰かに背中を押してもらいたくなるのだと思います。
子供の愚痴大会になった時は、ぜひ相手のお子さんの良いところを見つけてほめてあげましょう。
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