日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2019/12/09 14:43
先日、宮部みゆきの「茂七の事件簿」など、下町を舞台とした時代劇にしはげしば登場する深川を訪れた。
現在の江東区深川付近は海から離れているが、もともとは海沿いの地域だった。そのため、川が深かったから「深川」という地名になったように見えるが、実は人名に由来した地名である。
地名と人名が一致する場合、多くは地名が先で、そこに住んだ人が地名を名字にしたケースが多い。しかし、徳川家康の江戸入府以降急速に発展した江戸周辺では、元からあった地名では足りず、開発者や居住者に因む地名が次々とつくられた。
深川もそうした地名の一つで、この地域を開拓した深川八郎右衛門の名に因んでいる。八郎右衛門は摂津国の人で、慶長元年(1596)に一面の萱野であった小名木川以北の地を開拓、八郎右衛門の名字をとって深川村と名付けられた。
さて、深川といって真っ先に思いつくのが、刻んだアサリにネギなどを炊き込んだ「深川めし」である。
筆者は仕事で東海道新幹線を利用するときには、新横浜で「深川めし」の弁当を買うのが定番だ。しかし、これはあくまで弁当の「深川めし」。今回は風情のある老舗割烹「みや古」で本場の深川めしを頂いた。