日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2019/10/07 13:43
9月30日から始まったNHKの新しい朝ドラ「スカーレット」。信楽焼の女性陶芸家を主人公とした物語で、舞台は滋賀県甲賀市の信楽地区である。
甲賀というと伊賀と並んで忍者の里として有名だ。一般的には「こうが」と濁って読まれることが多いが、甲賀市の読み方は「こうか」と濁らず、かつての甲賀郡も「こうか」だった。
甲賀郡には多くの古墳があり、古くから豪族達がいたことがわかっている。中でも有名なのが、渡来人系の鹿深臣(かふかのおみ)という一族で、この「かふか」に因んで地名が「かふか」となり、やがて「こうか」に転じて「甲賀」の漢字を当てるようになったという。
従って、「こうか」と濁らなないのが本来の読み方なのだが、忍者の里として対比される「伊賀」が「いが」と濁るのと、「賀」という漢字の読みが「が」であることから、「こうが」と誤読されるようになったものだろう。
甲賀の地の武士たちは独立心に富み、戦国時代まで大名たちの支配をうけなかった。甲賀53家ともいわれる地侍たちが自治を続け、その頭領である山中家や望月家、伴(ばん)家などが有名。また、現在の大河ドラマの主人公である古今亭志ん生も、甲賀武士から旗本となった美濃部家の末裔である。