人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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信楽の里と甲賀

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2019/10/07 13:43

(画像はNHK公式サイトよりキャプチャ)

9月30日から始まったNHKの新しい朝ドラ「スカーレット」。信楽焼の女性陶芸家を主人公とした物語で、舞台は滋賀県甲賀市の信楽地区である。

甲賀というと伊賀と並んで忍者の里として有名だ。一般的には「こうが」と濁って読まれることが多いが、甲賀市の読み方は「こうか」と濁らず、かつての甲賀郡も「こうか」だった。

甲賀郡には多くの古墳があり、古くから豪族達がいたことがわかっている。中でも有名なのが、渡来人系の鹿深臣(かふかのおみ)という一族で、この「かふか」に因んで地名が「かふか」となり、やがて「こうか」に転じて「甲賀」の漢字を当てるようになったという。

従って、「こうか」と濁らなないのが本来の読み方なのだが、忍者の里として対比される「伊賀」が「いが」と濁るのと、「賀」という漢字の読みが「が」であることから、「こうが」と誤読されるようになったものだろう。

甲賀の地の武士たちは独立心に富み、戦国時代まで大名たちの支配をうけなかった。甲賀53家ともいわれる地侍たちが自治を続け、その頭領である山中家や望月家、伴(ばん)家などが有名。また、現在の大河ドラマの主人公である古今亭志ん生も、甲賀武士から旗本となった美濃部家の末裔である。

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