日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2019/06/03 17:54
難所・宇津ノ谷峠を越すと、街道はだらだらと下って岡部宿に入る。宿場の名残はほとんどないが、江戸時代末期に再建された「大旅籠柏屋(かしばや)」が立派な施設とし整備されていた。当時の旅籠の様子がわかる資料館であるだけでなく、土蔵ギャラリーや和風レストラン、物産館も併設された複合施設だ。
ところで、ここは岡部さんのルーツの1つでもある。「岡部」という名字には、大きく2つのルーツがある。1つは埼玉県深谷市岡部をルーツとする、武蔵七党猪俣党に属した岡部氏で、源平合戦の際に一の谷で平忠度を討ちとった岡部忠澄が有名。
もう1つが、ここ藤枝市岡部をルーツとする藤原南家の一族で、やはり『平家物語』に岡部泰綱の名がみえる。この2つの岡部氏は各地に広がり、長州藩士の岡部家や石川県宝達志水町の旧家の岡部家は武蔵岡部氏、和泉岸和田藩主の岡部家や、東京都桧原村の旧家の岡部家は駿河岡部氏の末裔という。
岡部宿の次の藤枝宿は、田中藩の城下町でもあり、今の藤枝市の市街地と重なっている。そのため街道も宿場もほぼ痕跡が残っていない。わずかに歩道に本陣跡を示すタイルがはめ込まれているのみだった。
藤枝宿で東海道を離れ、JR藤枝駅までさらに800mほど歩いてこの日は終了。草薙からここまで約34キロ、JR東海道線だと7駅30分ほどだが、歩くとほぼ1日かがりだ。江戸時代、成人男性だと1日に40キロほど歩いたという。しかも、連日これだけの距離を歩いて旅をしたので、その健脚ぶりに驚かされる。