本コラムは日本実業出版社が発行、エヌ・ジェイ出版販売株式会社が販売する企業向け直販月刊誌「企業実務」内に掲載されているコラムを転載したものです。
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2019/04/15 11:25
企業の経理・総務担当者が職場で直面する、規定集・法規集などに答えが見当たらない疑問、状況がレアケースすぎてそのまま規定を当てはめていいのかどうか迷う悩みに、プロの実務家・専門家が答えます!
※本コラムの内容について※
本コラムは、月刊「企業実務」内で連載されている同名の連載を再編集したものであり、関連法規・規定等については公開時点のものに準拠しています。
従業員30名のメーカーの管理部長です。当社では毎年1回、秋に会社の全額負担で1泊2日の社員旅行を開催していますが、社員の家族も参加してもらおうと社長が言い出しました。
社員のレクリエーション旅行や研修旅行を行なった場合、使用者が負担した費用が参加した社員の給与として課税されるかどうかは、その旅行の条件を総合的に勘案して判定します。
4泊5日以内で、社員の5割以上が参加する旅行であり、会社で負担した金額が少額不追及の範囲内のものであれば、その旅行費用を会社が負担しても福利厚生費として計上することが可能で、給与課税を行なう必要はありません。
ただし、同行する家族分の費用まで会社が負担すると、その額は社員に対する給与となり、給与課税が生じることとなるでしょう。よって、実務的には家族の分については別途、社員から徴収するのが、現実的な対応といえます。
いくら徴収するかについては、宿泊費と交通費をざっくりみて「一律○万円」といったような設定でもよいでしょう。経費全額に対して、ある程度、納得性のあるような額を徴収している事実があれば、細かく税務調査で問われる可能性は低いようです。
家族負担額も含めて社員旅行が常識の範囲内の慰安旅行であったことを証明する意味からも、領収書、明細書等と一緒に宿泊施設やレクリエーション施設のパンフレット、写真などもまとめて保存しておきましょう。なお、家族負担分を現金で徴収すれば問題はありませんが、給与から控除したいというのであれば、本人の同意だけでなく、過半数組合等と賃金控除についての労使協定を締結する義務があることにも注意してください(企業実務 17年10月号より転載)。
税理士小林俊道事務所所長。本田技研工業(株)を経て、税理士として独立、中堅中小企業コンシェルジュとして活動。著書に『ケースで理解する交際費・接待費の税務ポイント』等がある。
従業員30名の町工場の総務部長です。当社ではかなり前から改善活動を行なっていますが、最近はマンネリ化してアイデアもあまり出てこなくなっています。再び活性化させるにはどうすればよいでしょうか。
マンネリ化の原因の多くは、面倒だ、もう改善案のネタ切れだ、ということがあります。また、いちばんの原因は、主催者自身がそう思ってしまっていることです。
まず、改善案というものは無限に存在することを信じきらなければなりません。そうはいってもやはり改善案はそうそう出てこないのではないかと、本心ではつい考えてしまうでしょう。
改善活動は、ある程度の改善案がイメージできるから行なうというものではなく、まったく思い浮かばないからこそ力を入れて取り組む必要があります。
少しずつでも改善効果を積み重ねて利益貢献をしていかなければ会社の利益に悪影響を与えます。結果的には社員の収入にも影響が及ぶのです。積極的な改善効果を積み重ねることができれば、会社の利益は増え、収入アップも期待できるかもしれません。力を入れ続けないと活動が弱くなる可能性が、改善活動には常に存在します。
よって、活動の「型」を決めて、社員にやらざるを得ないという気にさせる、強制力を持って進めることが重要です。
たとえば半年サイクルで改善活動を回したうえでの「発表会」を、会社のスケジュールに組み込みます。1年に2回、必ず活動について評価される場がある、というふうにするのです。
また、改善活動は、「問題発見→原因追求→対策立案→実施→効果確認」といった複数のステップを追って、1つのテーマが完結します。現状の活動が弱い場合、このステップを完結させようとは思わないことです。
たとえば、「問題発見」のみを行なう活動をするのも活性化の方策のひとつです。最終的な成果までは求めず、社内のどこに、どんな問題があるかということだけを抽出させて、気づいた問題の件数だけを評価するという方法です。改善のステップを完結させず分離させ掘り下げるやり方です(企業実務 17年11月号より転載)。
株式会社アクティブチームメソッド研究所代表取締役。「企業社員の経営者感覚のプロデュース/設計」をテーマにコンサルティング業に従事。製造現場での生産性改善業務等に強みをもつ。