本コラムは日本実業出版社が発行、エヌ・ジェイ出版販売株式会社が販売する企業向け直販月刊誌「企業実務」内に掲載されているコラムを転載したものです。
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2019/04/02 09:21
企業の経理・総務担当者が職場で直面する、規定集・法規集などに答えが見当たらない疑問、状況がレアケースすぎてそのまま規定を当てはめていいのかどうか迷う悩みに、プロの実務家・専門家が答えます!
※本コラムの内容について※
本コラムは、月刊「企業実務」内で連載されている同名の連載を再編集したものであり、関連法規・規定等については公開時点のものに準拠しています。
従業員40名の製造業の管理部長です。納期について営業が安請合いをするために、製造部門に不満が溜まっています。こうした軋轢があるとき、間接部門ができることはあるでしょうか。
営業の安請合いの原因が何なのかによって、対応の仕方が変わってきますね。営業担当者の交渉能力が低いのであれば、営業の問題としてちゃんと納期交渉ができるような訓練をしていく必要があります。しかし、ほとんどの場合には、お客様の要望を受けざるを得ず、結果的に納期が厳しくならざるを得ないのではないでしょうか。もし、自社の納期要望を出せば、「それならば他社に頼むから」と失注することになってしまうと考えてしまうかもしれません。
いずれにしろ、いちばんよい方法は、製造の担当者がたまには営業同行して、お客様を訪問することです。営業の現場の厳しさ、市場で仕事をいただくことの厳しさを体験することは製造部門を強くすることにもつながります。
逆に、製造のことを理解せず安易な納期交渉をしてしまう営業担当者がいるならば、一度、製造体験をすることです。自社製品を製造する際にそれほど簡単に短納期対応できないことを身をもって理解するでしょう。
製造業での人材育成でよくあるのですが、入社したらまず製造部へ配属されてある程度の経験を積んでから営業へ異動になるローテーション方法をとっている企業があります。この方法は、営業と製造間の意識を揃えていくことに役立ちます。
また、営業と製造のコミュニケーションを密に図ることができれば、苦しいときにでも相手の気持ちを理解することができます。相手部門から厳しい状況を要求されたとしても、「それを出さざるを得ない何か理由があるのだろう」と考えることができるようになります。間接部門ができることとしては、ミーティングや懇親会など、そうした相互理解につながる「場」を企画・立案されてはいかがでしょうか(企業実務 17年10月号より転載)。
株式会社アクティブチームメソッド研究所代表取締役。「企業社員の経営者感覚のプロデュース/設計」をテーマにコンサルティング業に従事。製造現場での生産性改善業務等に強みをもつ。
従業員30名の販売店の総務課長です。若手社員から仕事の連絡をLINEで行ないたい、という希望が出ました。たしかに便利な道具とは思いますが、簡単に認めてよいものでしょうか。
最近はLINEで出退勤や業務連絡をする、という利用の仕方も増えているようですが、基本的に個人で使っているものに業務利用を混在させてしまうことには問題があります。
たとえば、そうしたサービスのクラウドサーバは日本国内にあるとは限りません。情報漏えいなどのトラブルが起こったときの開示請求をするとしても、そのサーバの存在する国の法律が適用され、思うような交渉ができない可能性があります。
そもそも、たとえば「体調が悪いので休みます」といった連絡ひとつとっても、所属長個人のLINEに連絡しているだけだと、その所属長が電源を切っていて連絡に気づかなかった、などということもあり得ますから、「LINEしたから伝わった」ということにはなりません。
また、SNSサービスを使っていない社員への対応のほかに、ひとつ認めると他のSNSサービス利用の要望も出てきたりして、歯止めがきかなくなる可能性もあります。
とはいえ、SNSは便利なツールです。「どうしても使いたい」というのなら、公私で利用アカウントを分ける仕事専用のスマートフォンを会社が貸与するといった方法が考えられます。
業務用と個人のものを物理的に分けておくことで、共通のサービスを利用させることができますし、紛失などのトラブルがあったときにリモートアクセスしてデータ消去をする、といった対策をとることも可能になります。
その場合でも、個人の利用と業務利用の混在によるトラブルを防止するための利用ルール、ガイドラインの整備は必要です(企業実務 17年10月号より転載)。
社会保険労務士法人せんだ事務所代表社員。警備会社、予備自衛官、消防団など様々な分野の現場でトラブルとその解決方法を学び、2010年社会保険労務士として開業。