「私の言うことって、どうしてうまく伝わらないのだろう」
「あのとき言ったことで、なぜムッとされたのだろう」
言葉は、自分が思っていた通りに受け取られないもの。「それを適切に言い換えるとすれば?」というテーマで好評を博したコラムがリニューアル!
職場に限らず、日常会話でもよくある「こんなときどう言えばいい?」という疑問の答えを、テレビ朝日を退社後、フリーアナウンサーや話し方講座の講師として活躍する渡辺由佳氏が解説します!
(毎月第2・4水曜日更新予定)
2019/03/15 15:11
相手の話をさえぎるときに、「お話の腰を折るようですが」というフレーズを耳にすることがあります。でも「そもそも話の腰って何?」と疑問に思われた人もいるのではないでしょうか。語源を調べてみると腰とは人間にとって体を支えるとても大切なところで、そこを折ってしまうということは、極めて大変なことをしてしまった、という意味合いで、「話の腰を折る」という表現が使われるようになったようです。
【改善前】
お話の腰を折るようですが……
その○○についてなんですが……
つまり、「話の腰を折る」という言葉は、とてもイメージが悪く、印象がよくありません。この言葉を口に出しただけでも、相手に対してはとても失礼にあたるのです。その他にも「お話に水をさすようですが」「お話の途中で申し訳ないのですが」という言い方もありますが、やはりこの言葉も同様に口にしただけでマイナスなイメージを与えてしまいます。
ですから、結果的には相手の話をさえぎることになったとしても、会話のなかではこのような言葉は使わないほうがよいでしょう。
そこでお勧めしたいのが、相手の話に乗りつつ、自分の話したい方向に舵を切る言い方です。ポイントは、相手が使ったキーワードを切り口に話をしてみることです。
「その○○について、こちらで調べましたところ……」
「その○○について、こんな意見もあったんですが……」
など、同じ言葉を使って話を自分のほうに引き寄せます。
そうすることで、相手も話をさえぎられたという印象がなく、気持ちよくこちらの話にも耳を傾けてくれるのではないでしょうか。
本連載は、企業の総務・経理・人事向け月刊専門情報誌「企業実務」から一部編集のうえ転載したものです。ご購読・見本誌をご希望、お問い合わせにつきましては下記バナーをクリックしてください(関連会社のサイトに遷移します)。