日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2019/03/11 17:50
昨年6月に「乾」はなぜ「いぬい」と読むかについて書いたが、今回は俳優の辰巳琢郎が自民党から大阪府知事選への立候補を打診されたが辞退したという報道があったので、改めて「辰巳」について書いたみたい。
辰巳という名字は、十二支であらわした方角に由来している。東南東を意味する「辰」と、南南東を指す「巳」の中間にあたる南東方向のことを「たつみ」と呼んだ。そしてこの南東の方角を、中国の八卦で巽(そん)ということから、日本では「巽」を「たつみ」と読んだ。
従って、「たつみ」は漢字では「辰巳」か「巽」と書くべきだが、名字では「巳」の代わりに「己」を使った「辰己」も多い。名字の全国ランキングでは辰巳と巽はほぼ同数でともに1400位前後である他、「辰己」も2000位あたりで、3つともメジャーな名字である。
しかし、「己」には「み」という読み方はなく、「辰己」と書くのは本来誤字なのだが、「さいとう」を「斉藤」とも書く(「斉」という漢字のよみは「せい」,本来は斎藤)のと同じように、これだけ多いともはや誤字とはいいづらい。
現在は「辰巳」「辰己」「巽」いずれも奈良県北部に多く、しかも奈良県では「辰己」が最多である。