『やってはいけない7つの「悪い」習慣』(デビッド・M・R・コヴィー/スティーブン・M・マーディクス:著・野津智子:訳)は、世界的ベストセラー『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー:著)の系譜を受け継ぐ1冊!

主人公の転落と再起のストーリーを通して、人生における7つの落とし穴をいかに避け、抜け出すかを解き明かす本書には、ブライアン・トレーシー(『カエルを食べてしまえ!』)、ケン・ブランチャード(『1分間マネジャー』)などをはじめ、多くのベストセラー作家から推薦の言葉が寄せられています。

満を持して日本に上陸した本書の魅力や読みどころについてみてみましょう。

私たちの身近に潜む7つの「落とし穴」

物語はある日、主人公のアレックスが、購入したばかりのゴージャスなオープンカーを家族に披露すべく家へと走らせている場面から始まります。アレックスは愛する妻と、可愛い2人の子どもをもち、会社では営業部長として活躍しています。

順調そのものと思えるアレックスの毎日。しかし実は、友人に対する見栄やリッチな休暇、快適なライフスタイルにこだわるあまり、30万ドルを超える借金を抱えていたのです。

そうした状況の中、さらにローンを組んで身の丈に合わない車を購入したことから、ついに妻は怒って家を出て行ってしまいます。

「なぜ、何もかもだめになってしまったんだろう」

アレックスが途方に暮れる中、今は亡き親友の母・ヴィクトリアと偶然再会します。

自身に起こった問題について語るアレックスに、ヴィクトリアは“人生の罠”について話し始めます。

「流砂と同じで、落とし穴や罠というのは、はまり込んでしまうのはあっという間なのに、出るとなると本当に大変。もがけばもがくほど、いよいよ深く沈み込んでしまう感じだし。

でも対処法や適切な手順を心得ていれば、抜け出すことは十分に可能よ。それどころか、思うよりずっと簡単なの。それに兆しに気づくことができたら、危険を察知して、そもそも足を踏み入れずにおくこともできる」(本書47ページより)

私たちが知らず知らずのうちに「罠」に陥ってしまう理由

ヴィクトリアは私たちの身近にひそむ「罠」の特徴として以下の4つを示します。

1. 魅力がたっぷりに見え、知らぬ間に引き寄せられてしまう

アレックスが陥った「金・借金」の罠はまさにこれ。世の中には、家や車、素敵なレストランでの食事など、お金を消費することで手に入れられる魅力的なものがあふれています。

きちんと計画を立ててお金を管理しなければ、流されるまま、遊びや楽しいことばかりを優先してしまい、あっという間にお金はなくなります。収入の範囲内で暮らすためには、規律と覚悟が欠かせません。

それがなかなかできないのは、カードやローンといった姿の見えないお金でとても簡単にものを手に入れられる時代になっているから。サイン一つで手に入るものにどれだけの価値があるのか意識することなく、簡単にお金が使える快楽に引き寄せられてしまうのです。

2. いっときは楽しく過ごせるが、やがて、苦しい思いを永遠にすることになる

お金を使う快楽は返済の苦しみと表裏一体です。返済の目途がつくからとさまざまな買い物をした結果、収入に見合わない返済に追われ続けることがあります。また、いま借金をしていなくても、子どもの教育費・老後の資金などを考慮して資金計画を立てなければ、いずれ借金の罠に陥ることになるのです。

このように罠は、人間関係、仕事、学びなど、人生におけるさまざまな場面で私たちを惑わしてきます。そして、私たちは「あとで苦しい思いをすることになろうとも、今のこの心地よさには代えられない」と考えて現実から目を背けてしまうのです――。

「このことを忘れないで。借金は、あなたの敵以外の何ものでもないこと、そして泥沼状態になってしまうことを。それから、借金がどんどん増えていくことに関しては、それにかかる利子が、とくに問題ね」(本書96ページより)