「時間の断捨離」最前線

「こうしたほうが早くない?」が口癖の「効率マニア」ことNAE(なえ)さん。

外資系コンサルでIT戦略の策定・実行支援の仕事をするかたわら、日々の仕事で見つけた気づきや役に立った方法論を紹介するブログ「NAEの仕事効率化ノート」が注目を集めています。最近では、20代で徹底したい一生モノの「仕事の基本」をまとめた著書『外資系コンサルは「無理難題」をこう解決します。』も刊行され話題に。

本連載では「無駄な時間をゼロにする『時間の断捨離』最前線」と題して、仕事を効率化するため必要な、あらゆるトピックについて語っていただきます。

著者プロフィール

NAE(なえ) 
 
月10万PVブログ「NAEの仕事効率化ノート」運営者、外資系コンサルティング企業管理職

1980年代生まれ。早稲田大学・東京大学大学院で情報工学を学んだのち、外資系コンサルティング企業に入社。ITを軸とした戦略策定と企業変革に従事。金融業のM&Aに伴うシステム全体像の策定、小売業基幹システムのグローバル展開プランニング、製造業のIT戦略策定など、業界や国内外を問わず億円規模のプロジェクトを多数経験。 
 
その傍ら「テクノロジーの目利き」として、ITの進化に伴う将来のビジネスのあり方や影響を見通し啓蒙する活動に5年以上参画、ここ数年は社内の新入社員研修やクライアント企業の勉強会に講師としても活躍。「清く、正しく、泥臭く」をモットーに地に足ついたコンサルティングを得意とする一方、「こうしたほうが早くない?」が口癖の効率マニアでもある。 著書に『外資系コンサルは「無理難題」をこう解決します。』(日本実業出版社)がある。

「やる気スイッチ」を探し続けることがムダになる理由

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2018/09/25 16:33

(photo by FineGraphics/photoAC)

効率化マニアの外資系コンサルが教える! 無駄な時間をゼロにする「時間の断捨離」最前線<第8回>

現役外資系コンサルとして膨大な仕事を最少の時間でこなしつつ、月間10万PVブログ「NAEの仕事効率化ノート」も運営するNAEさんに、ビジネスの現場で役に立つ時短術のコツを教わります。今回は仕事の効率を左右する「やる気」を出す方法について。

「やる気がでない」と悩むのがムダな理由

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「なんだかやる気がでない」
「目標へのモチベーションが上がらない」

仕事は頭を使うもの。そして、頭と心は一体。モチベーション=やる気が下がると頭が回らなくなり、生産性は一気に低下します。そのため、仕事においては「いかにモチベーションをコントロールし、高く保つか」が生産性アップの要となります。それはときに、小手先のテクニックよりはるかに効果を発揮することもあります。

とはいえ、モチベーションを常に高く保つことほど難しいことはありません。

実を言うと私は生粋の面倒くさがり屋。手間のかかりそうなものが目の前にあると「めんどくせぇ」と横に放ってしまいたくなるタイプの人間です。カチッと押せばやる気が出る「やる気スイッチ」があったらどんなに人生が楽になったか、何度もうらめしく思ったものです。

これまで「何か解決策を……」と思考錯誤する中で、瞬間的に湧き出たやる気の芽を行動につなげる「やる気アンテナ」 や、時間を空間としてとらえ、かぎられた時間を生産的に有効活用するための「箱庭式時間術」など、いくつか独自の「やる気を上げる方法」を編み出してきました。

しかし最近気づいたのです。これら小手先テクニックをいくら駆使しても、モチベーション低下の根本的な解決にはならないということに。そこで今回は、私が編み出したモチベーション低下に対する最終奥義を紹介します。

……と、引っ張っても仕方がないので、先に答えを言ってしまいます。

「モチベーションが上がらない」は、単に「目の前の面倒から逃げたい」をもっともらしく言い換えただけ。「モチベーションが上がらないからやらない」のではなく、「やらないからモチベーションが上がらない」のです。

人は「面倒だ」「やりたくない」などの感情があると、目の前の仕事が本来以上に大変に見え、「やらない理由」探しを始めます。そして、原因をモチベーションが下がった「ことにする」のです。

つまり根本は「やりたくない」という感情であり、これを断たない限り、モチベーションの低下からはまぬがれません。

したがって最終奥義は、「逃げずにやる」ことです。本来なら自分の力でこなせるはずの仕事なのに、心の弱さを理由に逃げの姿勢に入る。その心の弱さを断捨離していきましょう。

無駄なモチベーション低下を避ける「逃げずにやる」ための3ステップ

ではどうすれば逃げずにいられるのでしょうか。答えは単純。以下の3ステップで完了します。

ステップ1. まずは問答無用で「1分間」取り組んでみる

まず心を無にし、ロボットになったつもりで、目の前の仕事に手をつけます。

なにも考えず、ファイルを開く。最初の1行だけ処理する。紙切れ1枚にアイディアをとにかく書き出してみる。とにかく手をつけさえつければなんでもOK。1分間だけ、手を動かしてください。

ここでのコツは、必要があればハードルをどんどん下げること。なんなら「パソコンをつける」だけでもいいです。大丈夫、少なくとも「面倒だ」とまごついているあなたより、たった「1分」でも手をつけたあなたは前進しています。

1分間だけ取り組んでみると、おそらく「あ、これ意外といけるかも」と気づくでしょう。それもそのはず、本来ならあなたの実力で十分にこなせる仕事が、めんどくさい感情が勝り必要以上に難しく見えていただけなんですから。

「1分だけ手をつける」とはつまり、強く見えていた敵のベールを剥がして本当の姿さらけ出させるための、もっとも簡単で重要な魔法なんです。

ステップ2. 「意外といけるかも」を逃さず、「15分間」続ける

1分間手をつけて仕事の本来の姿が見えたら、なんとなく仕事完了までの道すじが見えてくるもの。そうしたら次のステップです。学校の試験の要領で、「15分だけ頑張る」などと時間を決めて、仕事に取り組みましょう。

たとえば紙とペンで頭の中を書き下しながら考えたり、誰かをつかまえて一緒に議論したり、ノッてきた気分が落ちない方法ならなんでもかまいません。

ステップ3. 一休みして、またロボットになる

15分間を集中して取り組めば、きっと目の前の仕事に対する見方が変わっているはずです。

「もともとの仕事=答えの見えない問題」だとすると、はじめの1分+次の15分で、それが「答えの見えている問題=ただのタスクのかたまり」に見え方が変わります。ならばあとは手を動かすだけの作業です。

ここまで16分も頑張って疲れているでしょうから、一休みしても構いません。それまでの時間で気づいたこと、見えてきたゴールまでの道筋をいったん整理してみると良いでしょう。そのあとに、目の前の簡単なタスクのかたまりをロボットのごとくコツコツとこなしてゆけばいいのです。

こうして少しずつ、目の前の「無理難題」を、考えなくてこなせる「作業」に解きほぐしていく。するとモチベーションが上がらない、頭が回らない時間帯でも仕事を進められます。これは著書『外資系コンサルは「無理難題」をこう解決します。』の1章に書いた「短距離走をくり返す」の応用技でもあります。

やる気がないなら、いつやる? 今でしょ!

もちろん、モチベーションが上がらない原因は「やりたくない」「面倒くさい」という心の弱さだけではありません。心身ともに消耗していたり、極端に寝不足だったり、ベースとなる健康面が原因で心の推進力や頭の回転力が出ないことも当然あるでしょう。そのため「逃げずにやる」という最終奥義は、最終といえども完璧ではありません。

しかし仮に、目の前の仕事から逃げる言い訳として「モチベーション低下」を使っているならば大問題。学校を休みたいという強い思いが体調不良を引き起こすのと同じく、心の弱さの言い訳として現れる甘えの発露にすぎません。

それでまごついている時間は、はっきりいって無駄です。なら最初から仕事に向き合い、1ミリでも前に進めるほうが建設的でしょう。

つまり断捨離すべきはモチベーション低下そのもではなく、目の前の問題から逃げようとする、その心の弱さです。結局は「やるか、やらないか」しかないんですから。

以上、「無駄なモチベーション低下の断捨離」というテーマで、最前線から送りしました。

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外資系コンサルは「無理難題」をこう解決します。

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