そのメソッドをまとめた『おいしく飲んでみるみるやせる 緑茶コーヒーダイエット』が刊行。新刊に込めた思いや、その中で語られたエピソードの裏側について、工藤先生にお話を伺いました。(文責:日本実業出版社)
夢だった「医師」になったけど……
こんにちは。減量外来でドクターをしている工藤孝文です。
僕は、子どものころからドラマに出てくるような救急救命医に憧れがあり、医学部を受験。卒業後、福岡市内の救急病院で医師生活を始めました。そこでは年間の救急車搬入が約5000件あり、脳卒中、心筋梗塞など様々な緊急疾患をみっちり経験しました。その後は地域の基幹病院に移り、糖尿病内科で生活習慣病の診察・改善指導を担当していました。
勤務医時代の仕事は充実していましたが、非常に多忙でストレスも多く、そのためか最高で92kgまで太ってしまいました。はっきり申し上げて「デブ医者」です。
夢に描いていたドクターの僕は、もっとすらっとしていて身のこなしも軽やか。テキパキと指示を出し、患者さんにも頼られるスーパーマンでした。でも実際の僕は、仕事こそバリバリこなすものの、「すらっ」というよりは「でぶっ」とした感じ。スーパーマンというよりは、クマのプーさん系。体が重いので、動作も軽やかとはいきません。
「工藤先生は優しそう」と患者さんは言ってくれますが、理想像からはちょっとズレていて、ひそかに悩んでいました。
それだけでなく、救急車で病院に来られる患者さんや、糖尿病外来で受け持つ患者さんは、血圧、血糖値、コレステロールの値などが非常に悪い方が多いことが気にかかっていました。
ちなみに、救急病院に来る患者さんというのは、その直前までは元気だった人がほとんどです。健康に歩いていた人がある日突然、寝たきりや車いすの生活になる。その実例を多く見る中で、患者さんの血圧、血糖値、コレステロールの値などもコントロールすることが必要だと感じるようになりました。
血圧、血糖値、コレステロールの値などをコントロールする、そのために必要なのは、多くの場合「減量」です。そう、血圧や血糖値が上がるのも、コレステロールも、原因のひとつは「太りすぎ」なのです。
僕は自分のためにも、患者さんのためにもやせる方法を探していました。
手間なし、がんばらない、効果が高いダイエット
とはいえ、僕の仕事はとてもハード。勤務中は、ゆっくり座って食事をする暇などありません。一方で、仕事は長時間で立ちっぱなしのときもあって体力勝負。
ですから、「1日3食バランスよく食べて適度な運動をする」などというダイエットははなから不可能だと感じていました。時間がない。運動するくらいなら寝ていたい。食べるものもいちいち選んでいられない。
「太っている」患者さんの多くもそんなふうでした。そして患者さんを見ていて感じたのは、「太っている人は、『やせましょう』と言ってやせられるものではない」ということです。医師の僕から「あと何キロやせてください」「そのためには炭水化物を減らしてください」と言われて、すぐ実践できるような人はそもそも太らないのです。
当時の僕も含め太っている人は、やせるための食事や運動を実践できないから太るのです!
だとしたら、そんな人たちでさえ実践できるくらい、簡単で手間いらずで、しかも本人の努力もいらないダイエット法が必要です。何かないだろうかと調べ続け、ある日見つけたのが緑茶コーヒーでした。
緑茶コーヒー。つまり、緑茶とコーヒーを1:1で割ったものです。これを1日3杯、食直前に飲むというダイエットです。
僕がダイエット法を探し始めた2015年当時は、コーヒー、緑茶のやせ効果がどんどん研究されている時期でした。緑茶カテキンと、コーヒーポリフェノールのクロロゲン酸には脂肪燃焼効果があり、別々に摂取するのではなく、混ぜることで相乗効果が高まり、カフェインの取りすぎなどのデメリットも防げるということなどが次々わかってきていたのです。
これらのことから、緑茶とコーヒーを混ぜて飲めば効果はあるだろうとは思っていました。では、どれくらいの効果があるのか? それを実証するため、まず、自分で緑茶コーヒーを飲んでみました。
そうしたところ、1週間ほどで効果が出始め、結果、10カ月あまりで25kgの減量に成功したのです!
これはいける。そう感じた僕は、当時の患者さんにもチャレンジしてもらいました。100人の患者さんに試してもらって、1カ月のダイエット効果は平均6.7kg。「飲むだけ」ダイエットの効果としては、かなりのものです。
このダイエット法を広めて、高血圧や高血糖、高コレステロールなどを予防したい。そう考えた僕は父が経営する工藤内科で、減量外来を開院、本格的にダイエット指導に当たることにしたのです。
緑茶コーヒーは世界一簡単なダイエット
僕は、緑茶コーヒーダイエットは世界一簡単なダイエットの一つだと思っています。なぜなら、お茶とコーヒーは世界中どこに行ってもあるからです。
というのも、ダイエットとしての効果が一番高いのは「緑茶」+「コーヒー」ですが、要は茶カテキンがポイントなので、お茶は紅茶でもウーロン茶でもほうじ茶でも、はたまたプーアル茶でもOK。つまり、茶カテキンが含有されているお茶とコーヒーを1:1で混ぜ合わせて飲むだけです。また、最近テレビで話題のダイエット効果がある「おからパウダー」をコーヒーに混ぜて飲んでも効果絶大。茶カテキンとコーヒーポリフェノールに加え、おからパウダーのアディポネクチンが一層脂肪を燃焼させます。
飲むタイミングも食直前がベストですが、食事中でも食事後でも大丈夫です。また、運動するのであれば、運動する1時間前に飲んでおくと脂肪燃焼効果がアップします。
そうそう、大事なことを書き忘れていましたが、お茶やコーヒーは市販のものやインスタント、ティーバッグでもOKです。
お茶やコーヒーが身の回りに一滴もない、なんていう状況は世界のどこへ行ってもあり得ません! ですから、日本どころか世界のどこにいても、ごく簡単に続けることができるのです。ダイエットは継続が何より大事。続けやすいダイエットでなければ意味がありません。その意味でも、「緑茶コーヒーダイエット」はベストな方法なのです。
“やせる”ことは体だけでなく、心にもいい
最後に、25kgやせて僕が感じたことは、「やせることは体にも心にもいい」ということ。太っていた頃の僕は仕事も充実していましたし、留学をしたり、結婚をしたりもしました。太っているから不足や問題があったということはありませんでした。
でも、心のどこかに、少しだけ「太っている自分」を恥ずかしく思う気持ちがありました。医局で同期の医師やナースと話していても、なんとなく自信が持てなかったり。結婚式の際も、奥さんのドレス姿を綺麗だと思う一方、自分ももう少しやせていればよかったと反省したり。
やせると、そういう自分に対する否定感がなくなりました。身軽になってテキパキ動けますし、頭の回転もより速くなったように感じます。自分がやっている仕事は太っている頃と変わらないのに、テレビ出演を依頼されるようになったのも大きな変化でした。
たとえば、子どもを産んで体重が増えた。結婚してから「幸せ太り」が止まらない。仕事のストレスで食べ過ぎてしまう。それを「仕方がない」とあきらめないでほしいのです。子どもを産んでも結婚しても痩せている人はいます。ストレスを感じても、食べる以外で発散している人もたくさんいます。
「太っているのは仕方ない」は思い込みです! 緑茶コーヒーダイエットなら、1日3杯飲むだけで、おなかの脂肪から燃えていきます! ぜひ、試してください!
※訂正(9/18)
文中、茶カテキンがコーン茶にも含まれるといった表現がございましたが、コーン茶にカテキンは含有されておりません。ご指摘をいただいたこと、この場にてお礼を申し上げるとともに、お詫びして訂正いたします。
工藤 孝文(くどう たかふみ)
福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。帰国後、大学病院、地域の基幹病院を経て、現在は、福岡 県みやま市の工藤内科で地域医療を行っている。ダイエット外来・糖尿病内科・漢方治療を専門とし、日本テレビ「世界一受けたい授業」減量外来ドクター、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」漢方治療評論家・肥満治療評論家として、メディア出演 多数。日本内科学会、日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本甲状腺学会、日本東洋医学会、小児慢性疾病指定医。