「私の言うことって、どうしてうまく伝わらないのだろう」
「あのとき言ったことで、なぜムッとされたのだろう」
言葉は、自分が思っていた通りに受け取られないもの。「それを適切に言い換えるとすれば?」というテーマで好評を博したコラムがリニューアル!
職場に限らず、日常会話でもよくある「こんなときどう言えばいい?」という疑問の答えを、テレビ朝日を退社後、フリーアナウンサーや話し方講座の講師として活躍する渡辺由佳氏が解説します!
(毎月第2・4水曜日更新予定)
2018/07/20 11:48
職場でもプライベートでも、多くの日本人がほめ言葉に対して「とんでもないです」「いやいやたいしたことないです」と相手の言葉を否定するニュアンスで言葉を返してしまいます。それが「日本の謙遜の美学」と言ってしまえばそれまでですが、そのあと、会話が続かなくて、なんとなく気まずい思いをしていませんか。
いえいえ、とんでもない。私なんてまだまだです。
ありがとうございます。○○さんのご指導の賜物です。これからも精進します。
「この前、取引先の△△部長が君の仕事ぶりをほめてたよ」と上司から言われたとします。そんなとき、「いえいえ、とんでもない。私なんてまだまだです」と答えてしまうと、せっかくほめてくれた△△部長の思いも、その言葉を伝えてくれた上司の思いも押し返してしまうことになります。
上司としては「せっかくほめてやったのに」とがっかりして、それ以上、会話を続けようという気持ちにならないこともあるでしょう。
ほめ言葉には、まずは、感謝の気持ちを伝えたいものです。そして、ほめてくれた相手を立てるひと言も加えます。「ありがとうございます! これまでご指導いただいたおかげです!」そうすれば、相手の気持ちをしっかり受け止めることができますし、さらに目の前の上司をほめ返すこともできるのです。きっとそこから会話も発展しやすくなるはずです。
ほめられたあとのひと言には、そのほかに、「光栄です」「痛み入ります」「嬉しいです」など、前向きに受け止めた気持ちを伝える言葉がたくさんあります。「とんでもない」をまずは封印することから始めてみませんか。
本連載は、企業の総務・経理・人事向け月刊専門情報誌「企業実務」から一部編集のうえ転載したものです。ご購読・見本誌をご希望、お問い合わせにつきましては下記バナーをクリックしてください(関連会社のサイトに遷移します)。