アナウンサー・渡辺由佳が解説「こんなときどう言う?」

「私の言うことって、どうしてうまく伝わらないのだろう」
「あのとき言ったことで、なぜムッとされたのだろう」
言葉は、自分が思っていた通りに受け取られないもの。「それを適切に言い換えるとすれば?」というテーマで好評を博したコラムがリニューアル!

職場に限らず、日常会話でもよくある「こんなときどう言えばいい?」という疑問の答えを、テレビ朝日を退社後、フリーアナウンサーや話し方講座の講師として活躍する渡辺由佳氏が解説します!
(毎月第2・4水曜日更新予定)

著者プロフィール

渡辺由佳(わたなべ・ゆか)

1964年、東京都生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科卒業。テレビ朝日にアナウンサーとして入社。報道から社会情報番組まで多数の人気番組を担当。1993年に独立。以後、フリーアナウンサー、話し方講師としての活動を始め、テレビ朝日アナウンサースクールやシェリロゼ(自分磨きスクール)で指導を行なうほか、「ビジネスマナー」「コミュニケーション」「ビジネスメール」をテーマに企業向けのセミナー講師も務める。2016年より大妻女子大学文学部非常勤講師を務める。

著書に、『会話力の基本』(日本実業出版社)、『スラスラ話せる敬語入門』『サクサク書けるビジネスメール入門』(以上、かんき出版)、『気の利いた「ひと言」辞典』(講談社)などがある。

ブログ:渡辺由佳の素敵なことば探し
http://ameblo.jp/sutekinakotoba/

相手と意見が異なるときの感じのよい意見の述べ方

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2018/06/15 11:21

(photo by beeboys/fotolia)

上司や取引先との会話のなかで、相手と意見が明らかに異なるとき、どういう言い方をするのか。その言い方次第で、相手との関係があとあとまで気まずいものになってしまうリスクがあるので要注意です。

【改善前】

そのやり方では無理だと思います。私は断然、こちらのやり方がいいと思います。

【改善後】

そのやり方もあると思うのですが、こちらの方法はいかがでしょうか。

意見の否定は人格の否定?

欧米では、意見を戦わせることはごく自然で、日常的なことです。しかし、日本のビジネスシーンでは「あなたの意見は間違っている」という言い方が、まるで「そんな意見を述べるあなたはおかしい」というニュアンスまで含んでしまうことがあります。

会議の席で「意見の異なる人は敵で、同じ人は味方」のような構図ができてしまうことを経験された人も多いのではないでしょうか。

まずは相手の意見を尊重する

異なった意見を伝えたいときは、まず「そのお考えもわかります」「そのご提案も○○という点でよいと思います」と、相手の意見を尊重します。そのうえで「また一方で、このような考え方もできるのではないでしょうか」「もう1つのご提案としてこのような方法もあると思うのですが、いかがでしょうか」と自分の意見を伝えます。

あくまでも、対立した意見として伝えるのではなく、もう1つの意見として並列させるイメージです。

ポイントは「いかがでしょうか」

「AとBという2つの考え方がありますが、いかがでしょうか」という言い方をされれば、相手も自分と違う意見を受け入れやすくなります。それは、「いかがでしょうか」という言い方で、もう一度自分の気持ちを尊重してもらい、選択権を与えられている気持ちになるからです。日本のビジネスシーンでは、対立する意見も「相手を立てながら」伝えるのがポイントです。


本連載は、企業の総務・経理・人事向け月刊専門情報誌「企業実務」から一部編集のうえ転載したものです。ご購読・見本誌をご希望、お問い合わせにつきましては下記バナーをクリックしてください(関連会社のサイトに遷移します)。

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