「私の言うことって、どうしてうまく伝わらないのだろう」
「あのとき言ったことで、なぜムッとされたのだろう」
言葉は、自分が思っていた通りに受け取られないもの。「それを適切に言い換えるとすれば?」というテーマで好評を博したコラムがリニューアル!
職場に限らず、日常会話でもよくある「こんなときどう言えばいい?」という疑問の答えを、テレビ朝日を退社後、フリーアナウンサーや話し方講座の講師として活躍する渡辺由佳氏が解説します!
(毎月第2・4水曜日更新予定)
2018/06/15 11:21
上司や取引先との会話のなかで、相手と意見が明らかに異なるとき、どういう言い方をするのか。その言い方次第で、相手との関係があとあとまで気まずいものになってしまうリスクがあるので要注意です。
そのやり方では無理だと思います。私は断然、こちらのやり方がいいと思います。
そのやり方もあると思うのですが、こちらの方法はいかがでしょうか。
欧米では、意見を戦わせることはごく自然で、日常的なことです。しかし、日本のビジネスシーンでは「あなたの意見は間違っている」という言い方が、まるで「そんな意見を述べるあなたはおかしい」というニュアンスまで含んでしまうことがあります。
会議の席で「意見の異なる人は敵で、同じ人は味方」のような構図ができてしまうことを経験された人も多いのではないでしょうか。
異なった意見を伝えたいときは、まず「そのお考えもわかります」「そのご提案も○○という点でよいと思います」と、相手の意見を尊重します。そのうえで「また一方で、このような考え方もできるのではないでしょうか」「もう1つのご提案としてこのような方法もあると思うのですが、いかがでしょうか」と自分の意見を伝えます。
あくまでも、対立した意見として伝えるのではなく、もう1つの意見として並列させるイメージです。
「AとBという2つの考え方がありますが、いかがでしょうか」という言い方をされれば、相手も自分と違う意見を受け入れやすくなります。それは、「いかがでしょうか」という言い方で、もう一度自分の気持ちを尊重してもらい、選択権を与えられている気持ちになるからです。日本のビジネスシーンでは、対立する意見も「相手を立てながら」伝えるのがポイントです。
本連載は、企業の総務・経理・人事向け月刊専門情報誌「企業実務」から一部編集のうえ転載したものです。ご購読・見本誌をご希望、お問い合わせにつきましては下記バナーをクリックしてください(関連会社のサイトに遷移します)。