「私の言うことって、どうしてうまく伝わらないのだろう」
「あのとき言ったことで、なぜムッとされたのだろう」
言葉は、自分が思っていた通りに受け取られないもの。「それを適切に言い換えるとすれば?」というテーマで好評を博したコラムがリニューアル!
職場に限らず、日常会話でもよくある「こんなときどう言えばいい?」という疑問の答えを、テレビ朝日を退社後、フリーアナウンサーや話し方講座の講師として活躍する渡辺由佳氏が解説します!
(毎月第2・4水曜日更新予定)
2018/05/18 11:54
モノの言い方次第で人間関係はよくも悪くもなるものです。たとえば、人にモノを頼まれたとき、前向きになれるときと、なんとなく断りたくなるときもあるでしょう。
あなたから上司や同僚に依頼をするときも同じこと。自分からお願いするときの言い方を少し工夫すれば「あなたに対する好感度を上げ、前向きに取り組んでもらえる」ということでもあります。それに適した言い方を「改善前・改善後」の対比でみてみましょう。
ちょっと急ぎなので、この書類を午後1時までに確認しておいてください。
急で申し訳ありませんが、こちらの書類を午後1時までにご確認いただけますか。
ある男性誌のアンケートで、上司が部下から言われたくない言葉のトップ5に「~ください」が入りました。その理由は、この言葉を1日中、部下から言われていると、どちらが上司かわからなくなってしまうからなのだそうです。
「~ください」は、ほかに選択の余地のない言葉です。「○○しろ!」と軽く命令されている気がします。まして部下から言われれば、不愉快な気持ちになるのも当然です。
このようなとき、語尾を「~していただけますか」「~をお願いできますか」とすると、伺いを立てて相手の意志を尊重できるので、たちまち感じのよい頼み方に変わります。
「恐れ入りますが」「ご面倒をおかけしますが」などを、クッション言葉といいます。相手に不都合なことや望んでいないことを受け入れてもらわなくてはいけないときは、相手を尊重する気持ちを表現するためにクッション言葉を使うことをお勧めします。
たとえば、納期を早めて欲しいとき、「ご無理をお願いして大変申し訳ないのですが、納期を1週間早めて○日までにお願いできないでしょうか」というようにお願いすれば、多少無理をしてでも協力しようと相手の心は動くかもしれません。
「モノは言いよう」と言いますが、相手が気持ちよく受け取れるお願いの仕方ができると、仕事は圧倒的にやりやすくなるはずです。
本連載は、企業の総務・経理・人事向け月刊専門情報誌「企業実務」から一部編集のうえ転載したものです。ご購読・見本誌をご希望、お問い合わせにつきましては下記バナーをクリックしてください(関連会社のサイトに遷移します)。