ビットコイン(BTC)をはじめ、ビットコインキャッシュ(BCH)やイーサリアム(ETH)など、2017年に一気に急騰し、2018年に入ってから一転して暴落するなど、話題を集めた仮想通貨(もしくは暗号通貨)。そこから得られた利益に対する課税は、原則として雑所得扱いで確定申告を行う(※2018年1月時点)ことになり、2017年12月頭には国税庁から仮想通貨に関する所得の計算方法等について(PDF)というアナウンスがでました。

今回はその内容も交えながら「雑所得で確定申告するときのポイント」についてみてみましょう。

※本記事中に記載されている申告方法ならびに税率は、2018年1月時点のものです

雑所得について

確定申告において雑所得に分類されるものは、代表的なものとして

  • 厚生年金や国民年金など、公的年金による所得
  • 作家以外の人が得た原稿料
  • 貸金業以外の人が得た貸付金の利子
  • 還付加算金
  • 定期積金の給付補填金

などがあり、ここに今回国税庁からアナウンスのあった「仮想通貨を売却または使用することで生じた所得」が入ることになります。

上記の雑所得は先物・FXの売買で得た譲渡益や分離課税を選んだ株の譲渡益、配当金などと違い「総合課税」の対象となるため、総所得金額を計算したのち、以下の表に従って所得税率が決まります。

『平成30年申告用 あなたの確定申告』P.41より
『平成30年申告用 あなたの確定申告』P.41より

実際の税額は、上記で算出された所得税額に加えて住民税(10%)が加算されるため、仮に課税総所得が4000万円を超えていたとすると住民税と合わせて税率が55%になります。よく「確定申告すると仮想通貨の利益の半分以上を持っていかれる」と言われていますが、それは数千万レベルの収益がある場合の話になります。

ちなみに、仮想通貨の取引により損失を被った場合、雑所得に分類される所得であれば損益通算が可能です。しかし、他の所得と損益通算することはできません。たとえば、給与所得を得ている人が仮想通貨の暴落により多大な負債を抱えたとしても、給与所得にかかる分の税金はその額に応じて納めることになります。

仮想通貨の取引により、雑所得の金額に損失が生じました。この損失は、給与所得等の他の所得と通算することができますか。

雑所得の金額の計算上生じた損失については、雑所得以外の他の所得と通算することはできません。所得税法上、他の所得と通算できる所得は、不動産所得・事業所得・譲渡所得・山林所得とされています。雑所得については、これらの所得に該当しませんので、その所得の金額の計算上生じた損失がある場合であっても、他の所得と通算することはできません。

(仮想通貨に関する所得の計算方法等について(PDF) 問7より引用)

仮想通貨に関連した、確定申告を行う義務が生じるタイミング

では、仮想通貨の取引や使用に関して、どのタイミングで課税対象となる所得が発生し、確定申告を行う義務が生じるのかを見てみましょう。国税庁のアナウンスでは、基本的に課税所得が発生するタイミングについて、大きく分けて

  1. 購入した仮想通貨が値上がりし、現金に換金して売却益を得た(利益確定した)とき
  2. 購入した仮想通貨を商品やサービスの購入手段として用いて決済したとき
  3. 購入した仮想通貨を用いて、別の仮想通貨を購入したとき
  4. 仮想通貨の分岐(フォーク)によって新たに誕生した通貨を取得し、その新たな通貨を売却または使用したとき
  5. 仮想通貨をマイニングによって取得したとき

としています。具体的な数字を用いた詳細な計算例は同アナウンスに書かれているので、ここでは考え方だけを簡単にみてみましょう。