企業が事業計画(目標)を達成し、成長し続けるための方法論に「予材管理」というものがあります。これは「白地・仕掛り・見込み」の3種類に分けた「予材(=受注の可能性がある案件)」を事業目標の2倍(業種によって変動)まで積み上げ、顧客との関係性を深めることで実績につなげていくとともに、継続的な会社の成長を目指す考え方です(下図参照)。
こうした「目標に対して余剰ともいえる“種”をまき、育てることで収穫につなげる」考え方は、企業経営におけるさまざまなシーンにも適用が可能です。その一例として「余剰人員&設備と会社の成長」に適用したケースを「予材管理」の提唱者・横山信弘さんの著書から見てみましょう。
※本記事は、『最強の経営を実現する「予材管理」のすべて』より一部を抜粋のうえ編集したものです。
「最小人数でフル稼働」する会社は、やがて疲弊する
組織を運営するにあたり、業績不振に陥ると、経営者はコスト削減の一環として、余剰人員を減らすといった考えを持つことがあります。しかし、それによって現場から余裕がなくなれば、到底、予材を増やすことはできません。ギリギリの人員でまわしていると、現存戦力にかかる負担も大きくなるからです。
私が経営する会社でも採用方針の転換を進めており、積極的にコンサルタントを増員しています。かつては、「2〜3年に1人」の採用ペースでしたが、現在は「1年に2~3人」のペースです。以前の私は、人員の補強・増員には慎重でした。なぜなら、営業コンサルタントの仕事には「波」があるからです。今が右肩上がりでも、いつ波が引いて、コンサル受注が減るかわかりません。
ですから、「最小人数」でフル稼働する。常に全力で走り続ける。そして、新規案件の受注など「今の人数では絶対にまわらない」ことがわかった場合に、人を補充していました。「仕事が増えたら、人を増やす」、あるいは「人を増やすのなら、仕事量も増やす」と考えていたのです。
ですが、「仕事を受注してから、人を採用する」やり方だと、コンサルタントはすぐには育たないので、どうしてもタイムラグが生じます。そこで現在は発想を変えて、次のように考えるようにしています。
- 仕事がいつ来てもいいように、余剰人員を抱えて、備えておく
- 人を増やして、余らせておいて、新規の仕事がきたときにはその人に任せる
これは予材管理の「先に予材を仕込んでおく」のと同じ発想です。「まだ確実に決まったわけではないけれど、受注の可能性があるかもしれない仕事」のために、あらかじめ人員を確保しておくわけです。
余剰人員がいても余剰設備があっても許される