たびたびネットで注目される、「デートでクーポンを使う男はセコい」という話題。しかし、クーポンをもらえるとなんだか得した気分になりますし、使わないと損だと思ってしまうのが消費者心理。「セコい」なんて言われても、クーポンが好きな人は多いはずです。
実はクーポンの歴史を探ると100年以上前にさかのぼります。つまり、クーポンは世界の市場でずっと使われ続けてきた、由緒ある「販売促進」の手法なのです。店舗側にとっても客側にとって大いにメリットのある方法だからこそ、現在でも頻繁に使われているのでしょう。
モノが売れない時代だからこそ、今からでも勉強すべき「販売促進」って?
販売促進は、あらゆるビジネスパーソンが学ぶべきマーケティング活動の一つです。
高度経済成長期やバブル経済の頃は、どんどんモノが売れたため、販売促進に力を入れずとも商品は自然に売れたのに対し、現代はモノが飽和し、供給過多になっています。また長い不況が消費者の財布の紐を固くしたこともあり、モノが簡単に売れない時代になりました。
「安い」だけでは売れない。さらに、「安くていいモノ」でも不十分。一度は売れるかもしれませんが、流行り廃りのサイクルが早い現代において、中長期的に売れ続ける商品になる可能性はわずかです。
商品企画力はもちろん重要ですが、同時に優れた販売促進施策を考え、消費者にインパクトを与えなければ、繰り返し購入してもらうことはできません。
「ならば、広告を打てばいいのでは?」という疑問が浮かびますが、広告の代表的存在といえる4マス媒体(テレビ、新聞、ラジオ、雑誌)が得意としているイメージ戦略は、直接的に購買に結び付かないことも多いというデメリットがあるほか、費用が莫大なことから費用対効果が見えないという点で敬遠されています。
それに対して販売促進は、消費者に直接的に購買を動機付けする方法をとります。ネットやスマートフォンの普及によって、「1対多」だけではなく、対象を絞り込んだアプローチが可能になるなど、打ち手の経路が増えたこともあり、モノを売る上で必須のマーケティング活動となっているのです。
販売促進活動の代表的な3つの手法をピックアップ
販売促進活動の基本から実践までを、図表を用いながら分かりやすく教えてくれる『担当になったら知っておきたい「販売促進」実践講座』(岩本俊幸:著)には、25種類の販売促進の手法が解説されています。そこから代表的なものを3つ取り上げてご紹介しましょう。
<1>商品に自信があるならば……「商品サンプル配布」
これは商品のサンプルを見込み客に配布し、試しに使ってもらって良さを実感してもらうという手法。
一番のわかりやすい例がスーパーの「試食」です。これは、店内で商品サンプルを配布し、その味を知ってもらうことで購入に結び付ける狙いがあります。
他に、新聞やテレビCMなどでよく見かける「サンプル無料提供」もこの手法の仲間。こちらは化粧品などの広告でよく見かけるでしょう。
ただ、試食したけれど美味しくない、試したけれど肌が痛んだなど、他の商品と比べてネガティブな評価を受けると、費用効率が悪くなるケースもあります。