日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2017/08/21 16:30
先日、九州を旅してきた。博多から「ゆふいんの森」で豪雨被害のあった福岡県南東部を迂回する形で由布院で1泊し、そこから県境を越えて阿蘇に入った。
阿蘇北側の大観峰からは、外輪山に囲まれた阿蘇を見渡すことができる。伝承によると、阿蘇のカルデラはもともと湖だったという。初代神武天皇の孫にあたる健磐龍命(たけいわたつのみこと)が、外輪山の立野の場所を蹴破ったため水が流れ出て、以後カルデラ内は田畑となったと伝える。
そのため、健磐龍命は阿蘇地方開拓の恩人とされ、その子速瓶玉命(はやかめたまのみこと)が阿蘇国造に任ぜられたと伝えられている。
荒唐無稽の話に聞こえるが、阿蘇は9万年前に噴火によって現在のカルデラ地形ができたあと、本当にカルデラ内には雨水がたまって湖ができていたという。その後、断層によってカルデラ壁の一部が崩壊したため、立野から水が流出して現在の姿になったらしい。つまり、この伝承は本質的には事実を伝えているのだ。
9万年前といえば、日本列島は中期旧石器時代にあたる。人が住んでいたことは確実で、大規模な自然現象を神に託すことで、神話として語り継いできたのだろう。
神話は事実そのものではないが、全くの虚構でもない。