日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2017/06/05 15:07
先週、昆虫のつく名字は少ないと紹介したが、実は魚のつく名字も意外と少ない。
全国名字ランキングで、5000位以内に入っているサカナのつく名字は「鮫島」と「鯉沼」の2つのみ。ただし、「鮫島」は駿河国富士郡鮫島(静岡県富士市鮫島)をルーツとする地名由来の名字で、サカナ由来ではない。サカナ以外では「蟹江」という名字もあるが、これも愛知県蟹江町という地名がルーツ。10000位まで広げても、サカナのつく名字は「鯉淵」「鯉渕」「鯉江」「小鮒」の4つが加わるだけ。これらの「鯉」や「鮒」はいずれも川に住んでいる魚だ。
7000位台の「蟹沢」という名字も、「沢」とつく以上川に住んでするカニに由来する。マグロ、カツオ、サバ、アジ、イワシ、タイなど、今では食用のサカナは圧倒的に海水魚が多いが、中世では、マグロやカツオといった外洋の魚を取るのは難しかったに違いない。そもそも海を広く泳いでいる魚で特定の家を指し示すというのは難しく、名字としては成立しづらかった。また、鯉は滝を登って龍になるという伝説があることから、おめでたい魚でもあった。
名字にはできるだけおめでたい言葉をつける、というのが基本である。