六本木ヒルズライブラリー」は、六本木ヒルズの49階に位置する会員制ライブラリーです。約12,000冊の蔵書に、ワークスペースやカフェなどを備えるこのライブラリーには、日々、知的好奇心の高いビジネスパーソンが、仕事や学習、そして交流のために来館します。

そのエントランスにあるショーケースに、4月下旬から約1ヵ月間、マインドフルネスの実践法を提案した書籍『「今、ここ」に意識を集中する練習』(日本実業出版社刊)の内容をモチーフにした展示が行われています。

この企画を担当した六本木ヒルズライブラリーのライブラリアンである結縄(ゆいなわ)久俊さんに、展示のねらいや本の感想、そしてビジネス書の最新トレンドについて、お話をうかがいました。


 「集中」に関する本が増えている

──結縄さんが『「今、ここ」に意識を集中する練習』に目をとめた理由をお聞かせください。

ライブラリーで働いている関係で毎日たくさんの新刊本に出会います。そんな中で最近よく目にするのが、「集中」というキーワードに関する本なんです。

今回展示を企画したエントランスショーケースは、当ライブラリーから来館者に向けてさまざまな情報発信するためのスペースですが、いま読むべき本や注目のテーマを提示するスペースでもあります。そこで、「集中」をテーマにした本の展示をしようと考えたのがきっかけです。

E
書籍の内容、イラストをもとに製作されたオリジナルのパネルが展示されている(撮影:日本実業出版社)

当初はいつもやっているように、「集中」に関する本をいくつか集めて、それぞれが提案する集中の方法を紹介することを考えました。しかし、もともと気になっていた『「今、ここ」に意識を集中する練習』を読んでみたら、他の本とは毛色が違っていて、また、私にとってはすごく興味深い本だったんです。

──この本のどんなところに惹かれたのでしょうか?

まず、個人的に以前からマインドフルネスに興味があってヨガや瞑想も実践していたので、すぐにフィットしました。

それと、さきほど「集中」をテーマにした本が増えていると言いましたが、そのほとんどは前のめりに「集中しよう!」というものです。それはそれでニーズが高いのですが、この本は、マインドフルネスをベースに「今あるもの、今いる場所に気づいてみよう」という、どちらかというと静的な集中の方法を提案するもので、そこに強いオリジナリティを感じました。

そのオリジナリティを目立たせるために、思い切って1冊だけを取り上げることにしたんです。展示パネルも、橋本豊さんが描かれた本文中のイラストを全面的に活かしてデザインしました。

このショーケースで1冊のみを紹介するのはおそらく初めてですが、当ライブラリーの雰囲気にぴったりな、とてもいい展示になったと個人的には感じています。