日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2017/01/30 16:47
大河ドラマに、井伊家の重臣として、筧利夫演じる中野直由という人物が登場した。中野氏は、井伊直盛の曾祖父にあたる直氏の弟直房が、井伊谷のうちの中野郷に住んで、「中野」と名乗ったのが祖。井伊本家とかなり近い関係にある分家で、家中でも大きな力を持っていたと思われる。
江戸時代の大名家では、家を継げない次男以下は他家に養子に行かない限り、実家の部屋住みで飼い殺しとなることが多かったが、戦国大名では家を継がない庶子は独立して本家の近くに分家し、その地名を名字とすることが多かった。
甲斐の武田氏や常陸の佐竹氏など、有力大名なはこうした分家の数が非常に多かった。一族として結束してその実力を固めたのだが、しばしば本家と分家の間で武力衝突となることもあった。中には分家の力が本家を上回り、「嫡流」の系統が移動することもあった。
中野一族は、以後もずっと井伊家を支え、井伊直政(直親の子)が徳川家康に仕えた際には、中野直之(直由の子)がその家臣として従っている。
大坂の陣後、中野家は彦根藩の家老となった。中野家は家督を継げない藩主の庶子が養子となって継ぐことが多く、藩主一門として家老の中でも独特の地位を持っていた。