出口治明さん(ライフネット生命会長)が著した『教養としての世界史』(祥伝社)や池上彰さんと佐藤優さんの共著『大世界史』(文春新書)がベストセラーになるなど、ビジネス・パーソンの間には、「世界史は必須の教養である」という認識が定着しているようです。
しかし、扱う範囲が広く、聞き慣れないカタカナの人物や出来事がたくさん登場する世界史の授業は、「複雑で覚えきれないからキライだった」という大人が多いのも事実です。私たちが「大人の教養」として世界史を学び直すとき、どのような方法をとればいいのでしょうか。
世界史の教科書はつまらない!
「こまかい年号や、戦争や事件のややこしい名前などは、大人が学ぶ世界史ではとりあえず不要です。まずはとにかく、ざっくりした全体像を。その全体像から、私たちは多くを学ぶはずです」というのは、『“中心”の移り変わりから読む 一気にわかる世界史』の著書を持ち、セミナーやブログを通じて世界史の面白さを伝えている秋田総一郎さんです。
秋田さんは、私たちが使った世界史の教科書は「ぜんぜん『すっきり』していません。『ひとつの物語』にもなっていません」と一刀両断します。
とにかく話があっちへ行ったりこっちへ行ったりします。それまでローマ史について述べていたのが、つぎの章からはインドや中国史になる。そのときはたいてい、時間が大きく逆戻りします。それが多すぎるのです。
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「そうだそうだ!」と深くうなずく人も多いのではないでしょうか。
世界史は「中心の移り変わり」で見る
その秋田さんが、大人が学ぶときにすすめるのは、世界史を「繁栄の中心の移り変わり」という視点でとらえることです。
メソポタミアに最初の文明の光が灯って以降、時代とともに少しずつ進歩しながら、繁栄の中心は動いていきました。現在中心があるのは、アメリカ合衆国のある北米大陸です。
そんな繁栄の中心の移り変わりについて、「単純な法則性があります」と秋田さんはいいます。