日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2016/10/31 14:20
10月26日、バレーボール男女日本代表の監督就任会見があった。女子はオリンピックに3回出場した往年の名セッター中田久美。そして、男子も全日本のエースだった中垣内祐一である。
この「中垣内」という名字、往年のファンなら「なかがいち」と読めるが、知らないと絶対に読めないだろう。「中垣内」は、関西を中心に西日本に広がる「垣内」系の名字の一つ。中垣内監督は福井県出身で、名字的には広い意味での関西圏に属している。
「垣内」とは、新しく開墾した小規模な土地や、これから開墾を予定している土地に対して、周囲に垣根を巡らして明確にしたもののことで、本来は「かいと」と読んだ。その後、漢字は「垣外」「垣分」など様々に変化し、読み方も漢字の読み方に従った「かきうち」の他、「かいち」「こうち」などに変化した。
垣内の場所は地名となった所も多く、その場所に住んだ人が名乗ることで「垣内」系の名字は広がった。また、お寺の所有した「寺垣内」や、人名のついた「次郎垣内」など、接頭語のつくものも多い。「中垣内」とは、一ヶ所にたくさん垣内がある場所で、中央にある垣内に因むものだろう。