人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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ノーベル賞を受賞した大隅博士の名字の由来

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2016/10/11 09:26

今年のノーベル賞は「3年連続で日本人受賞者が誕生」に加え、単独受賞ということもあって話題を呼んだ (photo by kilala/fotolia)

今年も日本人のノーベル賞受賞者が出た。これで3年連続の快挙で、しかも大隅良典東京工大栄誉教授のは単独の受賞である。

「大隅」という名字は多く、全国順位は1800位台。由来はもちろん、旧大隅国(鹿児島県)である。しかし、全国に広く分布しているが、大隅国のあった鹿児島県には少ない。大隅博士も福岡県の出身だ。旧国名と同じ名字の場合、確かに国名に由来していることが多いが、その国そのものにはあまり多くないことが多い。

国名に由来する名字には、大きく3つの理由がある。1つは、屋号に因むもの。「~屋」と号していた商家が、明治維新後「屋」をはずして名字にしたものだ。「~屋」という商家は、その国と取引のある他国の商家が名乗っているのが普通で、越後の越後屋や、伊勢に伊勢屋は少ない。他国にあるからこそ、国名を名乗るのだ。

2つめは、その国の出身者が名乗ったものである。この場合も、国を出て別の国に移り住んだ人達が名乗るわけで、国名とは違うところに住んでいるのが基本。

そして3つめは、「~守」などの役職から名字としたもので、これも「~守」を名乗った人が実際にその国に住んだとは限らない。

由来しているからといって、その国に多いとは限らないのだ。

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