何気ない一言やよかれと思ってした行動が、まさに相手の「心の地雷を踏む」ことがあります。「そんなつもりじゃなかったのに」と焦っても後の祭り。相手を怒らせてしまったり、関係がギクシャクしてしまったり……。何が正解だったのかと、困ってしまう人が多いはずです。
予約の取れない心理カウンセラーとして有名な根本裕幸氏は、そのような悩みを持つ人へ、「地雷を踏まないような生き方」ではなく、「地雷を踏んでしまっても大丈夫な人になる」ことが大切だとアドバイスしています。
根本先生の著書、『心の地雷を踏まないコツ・踏んだときのコツ』より、人間関係がラクになるヒントを見てみてみましょう。
気づかないうちに、相手を怒らせてしまうのはなぜ?
私たちはみな、心の中に「パーソナルスペース」を持っており、その中に他人が入ってくると、違和感や嫌悪感を覚えます。
わかりやすく言えば「心の縄張り」であり、お互いの心理的な距離にも当てはまります。人によって、同じ言葉でも「なんでそんなことを言うの?」と傷ついたり、腹が立ってしまうのもそのためです。
気づかないうちに相手を怒らせてしまいがちな人は、不用意に自分と相手との間にある、心のパーソナルスペースに入り込んでしまっているからかもしれません。
もちろん、パーソナルスペースをきちんと把握し、発言内容に気をつける、いわゆる空気を読むことで心の地雷を踏まないことは可能です。しかし、いくら地雷を踏まない(怒らせない)ように細心の注意を払ったところで、人によって物事の感じ方が違うので100%相手を怒らせない人生を歩むことは不可能といえます。
怒らせないようにするのは難しい!
「落とさないように注意していたのに、高価な置物を落としてしまった」「テレビを見ないで勉強をしようと思えば思うほど、テレビを消せない」。
このような経験には、「タブー(禁忌)の心理」が働いているそうです。別名「○○しないようにしようは○○してしまう法則」とも呼ばれています。
これは「人を怒らせない」と気をつけている時も同じです。
「怒らせないようにしなければ」いう不安を持つと、その不安に意識が集中し、そのことばかりを考えるようになってしまいます。すると潜在意識がどんどん怒らせるほうにフォーカスしていき、かえって相手の新たな怒りを引き寄せてしまう結果になるのです。
たとえば、余計な一言が多くて、周りの人の怒りを買ってしまう人が「余計なことを言わないように注意しよう」と意識するとします。しかし、自分の言葉のどれが、相手を怒らせてしまう余計な一言なのかがわかりません。
意識すればするほど、すべてが「余計な一言」に思えて、発言するのが怖くなってしまいます。すると今度は「言葉足らず」になってしまい、次は周りから「で、結論は?」「意見をきちんと言って」と怒られることに……。
これでは人間関係がよくならないばかりか、自分自身も意識のしすぎで疲れてしまうという悪循環に陥ります。
そこで根本先生がすすめするのは、自分の欠点を「あらかじめ宣言してしまう」こと。そして怒らせてしまったときに効果的な謝り方をトレーニングすることです。