SNSやLINE、メールでの情報の伝達が一般的な今、手紙を書くのは1年に1度の年賀状ぐらいのもの、という人が多いかもしれません。しかし、様々な分野で成功している人は概して“筆まめ”が多く、“ここぞ”というときに「手紙」をコミュニケーションの有効な手段として活用しています。

特にビジネスシーンにおいて、「手紙」はお礼やお詫び、大切なお願いをする際に思わぬ効力を発揮するはずです。そこで今回は、きちんとした「手紙」を書いたことがない人のために、「手紙の基本的な型」と、本文に入る前の「あいさつ文」の簡単な書き方を紹介します。

手紙の基本的な型を覚えよう!

そもそも、私たちが手紙を書くことを敬遠してしまうのは、手紙を書く上で「拝啓」などの用語の使用法を知らなかったり、文面の組み立て方のルールがあやふやなためです。まずは手紙の基本的な型を覚え、苦手意識をなくしましょう。

手紙は、「前文」「主文」「末文」「後文」の4つで構成され、「前文」の書き出しにあたる“頭語”や、主文に入る前の“あいさつ”には、定番といえる表現があります。

(『仕事で使える 手紙力の基本』28~29ページより)
前文 
1. 頭語:「拝啓」「謹啓」などがあり、結語との組み合わせは決まっている。
2. 時候のあいさつ:季節にふさわしいあいさつ文。頭語との間を1文字空ける。
3. 様子に関するあいさつ:相手の健康を気遣い、自分の近況を伝える。

主文
 
4. 起こし言葉:改行して「さて」などの起こし言葉を入れ、本題に入る。
5. 主文(本題):用件や素直な気持ちを表現する。
         礼状なら「感想」を盛り込む。

末文
 
6. 末文(結びのあいさつ):主文の内容をまとめるあいさつを置く。
7. 結語:頭語と対になる言葉を書く。「敬具」「謹白」など。
     行末が1字空くように注意。

後付
 
8. 日付:行頭から1字下げ、書いた日付を本文よりも小さめの文字で書く。
9. 差出人名:自分の名前を行末が1字空くように書く。
10. 宛名:相手の名前をフルネームで、行頭からやや大きめに書く。
           「様」などの敬称を忘れずに。

「拝啓」から始まれば、「敬具」で終わらせる

まず大切なのが、文章の入りと締めになる「拝啓」や「前略」などの“頭語”と、対になる「敬具」、「草々」といった“結語”の組み合わせです。
これがちぐはぐでは、せっかくの手紙が台無しになってしまいます。最後まで読んだら、“結語”の組み合わせが別のものに……ということにならないよう、気をつけましょう。

また、下の表で色文字で記されているのは女性が用いる言葉で、ビジネスの場面では用いないのが一般的です。しかし、相手との関係性によって、個人的に大変親しい間柄であれば、むしろ親密さを感じさせる自然な表現として、効果的な場合もあります。

無題
(『仕事で使える 手紙力の基本』31ページより)