人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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無敵ジャンパー高梨沙羅のルーツ

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2016/02/08 11:16

画像は高梨沙羅オフィシャルサイト(http://www.saratakanashi.com/)よりキャプチャ


女子スキージャンプのW杯で10連勝と、無敵を誇る高梨沙羅。

高梨のルーツは地名で、全国にいくつかあるが、最も有名なのが信濃の高梨。須坂市郊外にある地名で、ここを本拠とする清和源氏の高梨氏があった。高梨氏は信濃に広がった信濃源氏の一族で、近くの須坂市井上をルーツとする信濃井上氏の庶流。

この高梨氏は、源平合戦の際に最後まで木曽義仲に従って京都の六条河原で斬られた高梨忠直がいたなど、信濃北部に古くから勢力を持っていた。戦国時代には信濃北部の大名となり、上杉氏と結んで全盛期を築いたが、やがて武田信玄に圧迫されて信濃を去り、上杉氏の家臣となっている。

現在は長野県にはあまり多くなく、千葉県や山形県に多い。千葉県南部では戦国時代には安房の国人に高梨氏がおり、北部の野田には江戸時代初期に醤油醸造を始めた高梨家があった。野田の高梨家はのちに茂木家などと合同して、現在のキッコーマンを創立している。一方の山形県には南陽市に地名があり、江戸時代には高梨氏の仕えた上杉氏も、米沢藩の藩主として移り住んできた。

高梨沙羅は、北海道旭川市近くの上川町の出身。北海道は東北から移住者が多く、そのルーツは山形県の可能性が高い。

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