名南経営 presents ─vol.8─
当初、マイナンバーの通知カードは、10月中旬に発送されるとアナウンスされていましたが、実際にはかなり遅れ、企業においては個人番号の収集スケジュールに大きな狂いが生じてしまったケースも多いのではないでしょうか?
しかしようやく、12月中旬には、ほぼ発送が完了していると言っていい状態になりましたので、今後は「個人番号カードの申請」が話題になってくることでしょう。
個人番号カードとは?
マイナンバーの通知カードはあくまでも個人番号を通知するための、いわば仮のカードであり、本人確認の際の身分証明書として利用することはできません。そこで、国としては「写真」が表示され、一枚で「マイナンバーを証明する書類」兼「本人確認のための身分証明書」として利用できる「個人番号カード」の取得を推奨しています。
この通知カードは、マイナンバーの提示と本人確認が同時に必要な場面において利用される唯一のカードであり、全国民共通の身分証明書という位置づけのものとなります。
金融機関における口座開設やパスポートの新規発給など、様々な場面で使うことができ、また中期的にはマイナポータルへのログインに利用されるなど、電子政府にアクセスするための鍵としての機能を持つことになります。
個人番号カードの申請方法は4種類
この個人番号カードの初回の交付手数料は無料で、以下の4つの申請方法が用意されています。
(1)郵便申請
各世帯に郵送された通知カードの下の部分が「個人番号カード交付申請書」となっています。ここに顔写真を添付し、必要事項を記載したうえで、返信用封筒に入れて返送すれば申請できます。
(2)スマートフォン
スマートフォンのカメラで交付申請書のQRコードを読み取ると、申請用WEBサイトにアクセスすることができます。ここで画面の案内に従い必要事項を入力して、あらかじめスマートフォンのカメラで撮影しておいた顔写真を添付して送信すれば申請できます。
(3)パソコン
申請用WEBサイトにアクセスし、画面の案内に従い必要事項を入力して、あらかじめ撮影しておいた顔写真を添付して送信すれば申請できます。
(4)まちなかの証明用写真機
申請可能な証明用写真機のタッチパネルを操作し、交付申請用のQRコードをバーコードリーダーにかざしたうえで、必要事項を入力して、顔写真を撮影し、送信すれば申請できます。
以上のいずれかの方法で申請を行えば、平成28年1月以降、交付場所等が記載された交付通知書が郵送されます。その交付通知書と通知カード、本人確認書類といった必要な物を持参すると、個人番号カードを受け取ることができます。
個人番号カードは「いま」申請する必要があるのか
このように、様々な方法で、簡単に個人番号カードを申請することができます。最近、よく「いま個人番号カードを申請する必要があるのか?」という質問を受けます。万が一落としてしまったら怖いし、どうしたらよいのだろうか、ということだと思います。また、制度スタートからしばらくは、個人番号カードがなくとも、生活においてそれほど大きな支障はないと思われますので、申請しないという選択肢もあるでしょう(数年以内には徐々に、個人番号カードがないと不便な世の中になっていくことが予想されます)。
しかし私は、なりすましの防止などを考えれば、個人番号カードの申請は早めに行い、交付を受けた上で、自宅で厳重に保管するというのがよいのではないかと考えています。ちなみに、私はすでに申請を行いました。
個人番号カードについては以下のパンフレットがよくまとまっていますので、こちらも是非ご覧ください。
パンフレット「マイナンバー(個人番号)のお知らせ・個人番号カード交付申請のご案内」
(次回は2016年1月18日・月曜日に配信予定)
【執筆者プロフィール】
社会保険労務士法人名南経営
代表社員 大津章敬(社会保険労務士)
愛知県出身。大学在学中に社会保険労務士資格を取得し、1994年に早稲田大学法学部を卒業後、新卒で名南経営に入社。従業員と企業の双方が「この会社で良かった」と思える環境を実現する人事労務コンサルタント。企業の人事制度整備・就業規則策定など人事労務環境整備が専門。中でも社会保険労務士としての労働関係法令の知識を活かし、労働時間制度など最適な制度設計を実施した上で、それを前提とした人事制度の設計を得意とする。「マイナンバー制度の実務と業務フローがわかる本」(日本実業出版社)など12冊の著書を持つ。