自分ではきちんと考えているつもりなのに、「ちゃんと考えてる?」「もっと考えて仕事をして!」と言われて、正直どうしたらよいかわからない……と悩んだことはないでしょうか。そんな方に、ぜひ読んでほしいのが『そもそも「論理的に考える」って何から始めればいいの?』(深沢真太郎:著)です。

今回は著者の深沢氏に、論理的に考えるために必要なことや本書の読みどころについて、お聞きしました。(文責:日本実業出版社)

そもそも「論理的」にということがわかりません……

――本書のタイトルにもある、「論理的」に考えるとは、具体的にどういうことでしょうか?

深沢真太郎氏

 
あくまでも私の表現ですが、「線と線でつながっている」というのが、論理的であるということだと考えています。

もし私が「論理的って何?」と子どもにたずねられたとしたら、「線と線でつながっていることだよ」、と答えます。

たとえば、女子大生(A)は女性(B)である。女性(B)は女子トイレに行く(C)。だから女子大生(A)は女子トイレに行く(C)。何だか変な例になっちゃったんですが(笑)。A-B-Cが1つの線でつながりましたよね。こういうのを「三段論法」と言い、論理的であることの代表例です。

――どうすれば論理的に考えたり、話したりできるようになるのでしょうか?

 
私自身心がけているし、私が教えているビジネス数学の講義でも言っているのは、「言葉」を正しく使いましょうということです。

私は「論理言葉」と言っていますが、「なぜなら」「したがって」「ということは」といった接続詞がそれにあたります。

たとえば、「したがって」と言ったら、当然その続きは結論になるような「まとめ」を言わなくてはいけませんよね。ここで突拍子もない話題が続くと聞き手は混乱してしまいます。いわば、聞き手の中ではその接続詞の前後が線でつながっていない状態なのです。

繰り返しになりますが、話の前後を線でつなげるために「言葉」、特に「接続詞」を正しく使うこと。これが論理的に考えて、論理的に話すコツです。

――とても納得しました。私が話をしていて「あれ? 何を話してたっけ?」となってしまうのは、接続詞を正しく使えていないために、間違った方向に話が進んでしまっていたからなんですね。

 
そうかもしれませんね。接続詞を正しく使うと、相手も「次はそういう展開の話になるんだ」と、話を聞く心構えができるんですよ。

「したがって……」といったらまとめなんだなとわかるし、「逆に……」といえば逆のことを言うんだなと、相手もそのつもりで話が聞ける。そうすると、この人はわかりやすく話をしてくれる人だなと思ってもらえます。これが、「わかりやすい話」の正体なんです。

無駄をなくすためには、まずは「テーマ」を決める

――本書の中で、「考えるコツを知っている人は、数学的に考えられる人」とありますが、その人はどのように「考える」ことを行なっているのでしょう?

数学的思考ができる人は何かを考え始める前に、「考えるテーマを具体的に決める」ということを行ないます。

たとえば、数学の問題でただ「三角形について考えてください」と言われても困りますよね。ですが、「この三角形の面積を求めてください」「この三角形が○○であることを証明してください」と具体的なテーマが決まると、ゴールに向けて考え始めることができる。

このように、何について考えるのかをできるだけ具体的にしないと、「考える」ってスタートできないんですよ。そして、そこを決めないままスタートしてしまうと、とんでもない回り道をした上に、逆方向に行っちゃうなんてことにもなり得ます。数学的思考をする人は、そういう「無駄」を一番嫌います。

ビジネスシーンで言うと、今回のようなインタビューを始める前に、数学的思考をする人は、「このインタビューを定義しましょう」というところから入るんです。今日、この場というのは何をするための場であるかをきちんと決めないと、その目的のための会話にならないじゃないですか。「最近、どう?」なんて、雑談で終わりかねない。

そんなことが日々、日本の会社の会議室で行われているわけです。ゴールが決まっていない会議をしているから、「どこに向かって議論しているんだろうね。この2時間、何だったんだろう……」なんてことになっちゃう。

――あー……、耳が痛い(笑)。数学の勉強に限らず、数学的思考というのは日常的に大事な考え方なんですね。