時期や場所を問わず発生するクレーム。大半は正当な事由があって企業へ寄せられるものですが、言いがかりや恐喝・詐取に近いものがあるのも事実です。「店員に土下座を強要した顧客を逮捕」などといった事件を見聞きした人も多いことでしょう。

こうしたモンスタークレーマーの対処は難しいもの。下手に「申し訳ございませんでした」などと言おうものなら、「申し訳ないってことは非を認めるんだな? じゃ、誠意を形にして見せてくれ」などと付け入るスキを与えてしまいます。

もちろん、最初から「受けて立つ気全開」で対応するのは絶対ダメです。でも、「“お客様は神様”っていうのに、なんだその言いぐさは」などと言う人にヘタに譲歩するのもよくありません。

そこで今回は「自称“神様”に使うべきではない3つのフレーズ」と「揚げ足を取られないようにするための対処法」を見てみましょう。

「おっしゃる通りです」「申し訳ございません」

 ⇒「非を認めるなら、何とかしろ(≒金を出せ)」……となるのでNG

全面的に自社側に非がある場合は当然謝らなければなりません。しかし、無理難題や言いがかりを吹っかけてくる相手に対して非を認めてしまうと、そこからクレーマーに主導権をとられてしまいます。そのため、お詫びや同意・同調の言葉は使わないようにするのが無難でしょう。

ではどうする?

こういったときは、「逆に相手の了承や同意・同調の言質をとる」ようにつとめるのがいいでしょう。具体的には下記のようになります。

相手のペースに入らないためには、聴くことをメインにしながらも適当なタイミングで了承や同意をもらう働き掛けをしてみることです。あるいは、意図的に了承や同意をもらう展開に切り替えることです。

そのためには、視点を変えてもらう働き掛けをするのも一つの方法です。

「恐れ入ります。そこはご理解いただけると思いますが、いかがでしょうか」とか、「恐れ入ります。池中様、ちょっと、よろしいでしょうか。池中様が私どもでしたらいかがなさいますでしょうか?」とするとどうでしょう。

説得には了承や同調・同意の言葉をもらう展開に持っていくことです。

『一番つかえるクレーム対応のやり方がわかる本』(田中義樹 著) p.106-107より

「そのようなことは申し上げておりません」

 ⇒「さっき言っただろ? 覚えてないのか」……となるのでNG

 基本的に、恫喝・恐喝スレスレのクレームをつけてこられた場合、企業側は複数名で対処するのがベターです。クレーマー側がこうした無理難題を吹っかけてきたときに単独で対応すると、クレーマー側に一方的に都合のいい解釈や、場合によっては作り事・捏造をしてまで押し通そうとしてきます

こうなってしまうと、どうしようもない水掛け論になり埒があきません。